現代政府論

担当教員:Steven R. REED

授業のテーマ

 先進国の現代民主主義の諸形態を紹介する。比較政治学の理論と選挙を中心とした戦後政治史を通じて、日本、イギリス、ドイツ、イタリア等の民主主義を比較・評価する。

 民主主義の国家は冷戦を勝ったし、現在「民主化の第三の波」の途中で、どこの国でも民主化を試みている。しかし、既成の民主主義の国家ではどこでも民主主義の危機に向かっている。汚職問題、政治不信、新党ブームなどは先進国の共通の悩みである。第二次大戦前の民主主義の問題は階級の対立であって、戦後にはその問題を解決したのが包括政党であった。包括政党というのは、一つの階級やグループを代表するのではなく、国民全体を代表する政党である。最も早くから包括政党に変身した政党は選挙で最も成功した。しかし、冷戦後の民主主義には、包括政党同士の競争する選挙が争点なし、誰が勝っても同じ、等の批判を呼んでいる。歴史的に民主主義を考え直す時期になったと思われる。そして、今までの民主主義についての理論はあまり役に立たない。

 民主主義の理想についての理論は進んでいるが、どの理想像でもあまり事実に合わない。主な理想論は事実に不可能である可能性が強く、民主主義論が行き詰まっていると思われる。考え直すためには、各国の戦後政治史を勉強して、民主主義の実体を分析・評価する。各国に共通する現象は民主主義の事実だと考えて、本当に可能な民主主義の理想を作ることを試みたい。

 

授業の進め方

 講義では各国の戦後政治史を紹介して、学生に評価してもらう。特に日本の民主主義と比較してもらう。

 

到達目標

 日本の政治学者は日本の民主主義を批判して、外国の民主主義を誉める傾向が強いが、それは日本の現実と外国の理想を比較しているからである。日本の現実と外国の現実を比較してみると、大した差がなく、共通点が多い。日本の民主主義を改善するためには、どこの外国でも達していない理想論より、外国の現実に成功している例が役に立つと思われる。日本の民主主義を正しく評価するためにも、改善するためにも諸外国の民主主義の現実を理解するのが不可欠。

 

評価方法

 レポートで評価する。幾つかの国を選んで、資料を集めて、比較して、本格的なレポートを下さい。講義の内容を無視して、参考文献だけでレポートを書くのは非常に危ない。

 比較政治学にはいつも広さと深さの選択肢で悩む。深さを選んだ場合でも、少なくとも三つの国を比較してください。広さを選んだ場合でも、二十ぐらいの先進国に限って分析してください。もうひとつの選択肢は国全体を比較するか、特定の問題を比較するか。たとえば、日本、イギリス・ドイツの民主主義全体を比較してもよい。そして、特定の問題を選んだ場合、民主主義の問題点(例えば、投票率、一党支配、政治腐敗、政教分離など)でもいい。政策を選んだ場合、必ず選挙が争点になった政策でないと駄目。

 去年のS・Aの評価をもらったレポートをコンピューター・テキストで提供する。

 

教科書

 教材、資料をコンピュータで提供します。

 テキスト案内:マイ・コンピューターの中のCastorの中のWorkの中のSRリードの中の政治と社会を開いて見てください。

 

参考書

梅津 實『比較・選挙制時』ミネルヴァ書房、1998