アメリカ不法行為法ー主要概念と学際法理の研究
2006年10月、中央大学出版部488頁(追加資料)+(はしがき+目次

中央大学 専任教授(総合政策学部)・ 博士(総合政策 中央大学)・米国弁護士(NY州)
平野 晋

Susumu Hirano; Professor, Faculty of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN); Member of the New York State Bar (The United States of America) .
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【未校閲版】without proof

追加資料 
本書の記述内容に関連する新たな資料を追加。

補追 --- 判例と学説
国際商事法務』誌上にて順次公開。
 2007年10月(35巻10号)から分載開始

補追の目次

*************** 補追 *****************

以下、順次公表済「補追『アメリカ不法行為法』―判例と学説」原稿の出典表示です。

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<その一>故意、過失、厳格責任、他 第I章 故意による不法行為 第1回 『国際商事法務』35巻10号1337−86頁(2007年10月)
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第II章 過失責任 第一節 過失基準(standard) 1.歴史:“古(いにしえ)の厳格責任” から19世紀中頃の過失責任主義の出現へ 第2回 『国際商事法務』35巻11号1538−42頁(2007年11月)
2.「Brown対 Kendall」判例 A.「trespass」対「case
B.過失責任主義は資本家を利する産業補助であったのか(過失責任主義の歴史観)
3.リーズナブル・パーソン・スタンダード―客観基準と「Vaughan対 Menlove」判例
4.年齢 A.「Purtle対 Shelton」判例
5.状況を考慮した過失基準
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第II章 過失責任 第一節 過失基準 (standard) 6.予見可能性 (foreseeability) 第3回 『国際商事法務』35巻12号1736−42頁(2007年12月)
7.危険の計量 (Calculus of Risk) A.「Eckert対 Long Island R.R.」判例
B.Henry Terry「Negligence」論文とcalculus of risk
C.「Adams対 Bullock」判例
D.「United States対 Carroll Towing Co.」判例
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第II章 過失責任 第一節 過失基準 (standard) 7.危険の計量 (Calculus of Risk) E.定量化が困難であることを自認していたHand判事 第4回 『国際商事法務』36巻1号118−24頁(2008年1月)
F.Bolton対 Stone」判例
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第II章 過失責任 第一節 過失基準 (standard) 8.業界慣行と過失責任の関係 A.「Titus対 Bradford, B. & K. R. Co.」判例 第5回 『国際商事法務』36巻2号260−65頁(2008年2月)
B.The T.J. Hooper」判例
9.裁判官が判断すべき過失 A.「Baltimore and Ohio R.R.対 Goodman」判例
B.Pokora対 Wabash Ry.」判例
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第II章 過失責任 第二節 制定法違反即過失 (negligence per se) 1.ネグリジェンス・パー・セー―制定法違反“即過失” A.要件と効果 第6回 『国際商事法務』36巻3号409−14頁(2008年3月)
B.Osborne対 McMasters」判例
C.ネグリジェンス・パー・セーへの賛否
D.Martin対 Herzog」判例
E.因果関係とネグリジェンス・パー・セー
F.全ての刑法・制定法違反がネグリジェンス・パー・セーに該当する訳ではない
G.刑法・制定法遵守は無過失の推定になるか
H.製造物責任法における安全法規への遵守・不遵守の効果
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第II章 過失責任 第三節 過失推定則 (res ipsa loquitur) 1.レス・イプサ・ロキタ (res ipsa loquitur)―過失推定則 A.要件と効果 第7回 『国際商事法務』36巻4号537−47頁(2008年4月)
B.Byrne対 Boadle」判例
2.間違いだらけのレス・イプサ・ロキタ#1―蓋然性誤評価の論理
3.間違いだらけのレス・イプサ・ロキタ#2―蓋然性誤評価の実証実験
4.危険の管理 A.Ybarra対 Spangard」判例
5.製造物責任法とレス・イプサ・ロキタ
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第III章 厳格 (無過失)責任(strict liability) 第一節 Rylands対Fletcher」判例、他 1.Rylands対 Fletcher」判例 第8回 『国際商事法務』36巻5号673−81頁(2008年5月)
2.Madsen対 East Jordan Irrigation Co.」判例
3.「Indiana Harbor Belt R.R.対 American Cyanamid Co.」判例 A.厳格責任の目的と「注意レベル」対「活動レベル」
B.the best risk minimizerと危険の管理
C.不可避的な危険と責任の違い
D.「近視眼的」視座対「巨視的」視座
E.コースの定理の指摘との近似性
F.厳格責任の目的は「分配的正義」ではなく「資源配分の効率性」
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第IV章 因果関係(proximate causation) 第一節 事実的因果関係(causation in fact) 1.but-for causation (あれなかりせばこれなし因果関係) A.New York Cent. R.R.対 Grimstad」判例 第9回 『国際商事法務』36巻6号819−24頁(2008年6月)
B.コメント
2.substantial-factor rule (実質的要素のルール) A.Kingston.対 Chicago & N.W. Ry.」判例
3.alternative liability (選択的責任) A.Summers.対 Tice」判例
B.コメント
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第IV章 因果関係(proximate causation) 第一節 事実的因果関係(causation in fact) 4.市場占有率責任(market share liability) A.Sindell対 Abbott Laboratories」判例 第10回 『国際商事法務』36巻7号941−47頁(2008年7月)
B.コメント
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第IV章 因果関係(proximate causation) 第二節 近因(proximate cause) 1.Wagon Mound (No.1)」判例 A.Wagon Mound (No.2)」判例 第11回 『国際商事法務』36巻8号1091−97頁(2008年8月)
2.Palsgraf対 Long Island R.R.」判例 A.コメント
B.Palsgraf」事件の真相
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第V章 抗弁(defense) 第一節 危険の引受(assumption of risk) 1.明示の危険の引受(express assumption of risk) 第12回 『国際商事法務』36巻9号1244−49頁(2008年9月)
2.黙示の危険の引受(implied assumption of risk)と労働災害
第VI章 救済(remedies) 第一節 懲罰賠償(punitive damages) 1.「フォード・ピント事件」 A.「Grimshaw対 Ford Motor Co.」判例
B.企業ヒーロー、アイアコッカ元副社長(後のクライスラー社長)と「ピント車」
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第VI章 救済(remedies) 第一節 懲罰賠償(punitive damages) 2.企業による費用便益分析を非難する当判例へのG. Schwartzの批判 第13回 『国際商事法務』36巻10号1380−85頁(2008年10月)
3.企業による費用便益分析は支持されるべきである
4.しかし危険を知らせることは必要である―G. Schwartzの指摘の続き A.悪名高いフォード・ピント事件
B.内部告発者(whistle blower)/公益通報者とフォード・ピント事件
C.政府の安全基準と司法府の判断との関係
D.私見(何が非難されたのか)
E.「意識的な設計選択」(conscious design choice)
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第VII章 医療過誤(med-mal) 第一節 医療過誤と慣行 1.「地域基準」(locality rule)対「全国基準」(nationality rule) A.「Brune対 Belinkoff」判例 第14回 『国際商事法務』36巻11号1514−18頁(2008年11月)
2.医療慣行を遵守しても過失責任を課したケース A.「Helling対 Carey」判例
B.ハンド・フォーミュラによる分析
C.立法による反撃
D.汚名
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第VII章 医療過誤(med-mal) 第二節 インフォームド・コンセント(informed consent) 1.自律・自決権とインフォームド・コンセント A.「Canterbury対 Spence」判例 第15回 『国際商事法務』36巻12号1656−60頁(2008年12月)
B.コメント
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その二> 製造物責任法 第I章 製造物責任法判例発展史(history of products liability) 第一節 判例発展史―契約法と不法行為法のハイブリッド(融合的)な性格  1.不法行為法(過失責任)からの発展 A.プリヴィティー・ルール(privity rule) 第16回 『国際商事法務』37巻1号108-15頁(2009年1月)
B.レス・イプサ・ロキタ(過失推定則)の拡大解釈と「Escola対 Coca Cola Bottling Co. of Fresno」判例(Gibson判事の法廷意見)
2.契約法(保証責任)からの発展
3.Greenman 対 Yuba Power Products, Inc.」判例と、『リステイトメント(第二次)不法行為法』§402A
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その二> 製造物責任法 第I章 製造物責任法判例発展史(history of products liability) 第二節 「Escola 対Coca Cola Bottling Co. of Fresno」判例(Traynor, J.の同意意見)  第17回 『国際商事法務』37巻2号252−57頁(2009年2月)
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その二> 製造物責任法 第II章 設計欠陥(design defect) 第一節 欠陥基準を巡る混乱 第18回 『国際商事法務』37巻3号393−401頁(2009年3月)
第二節 危険効用基準 1.ウエイドの七要素
2.設計欠陥における危険効用基準の進化―大体設計案との限界的な比較
3.「ミクロ衡量」(micro balancing)対「マクロ衡量」(macro balancing) A.「ハンド・フォーミュラ」と「費用便益分析」の近似性
4.「製品分類別責任」(products category liability)と限界的な比較との相違―Henderson & Twerskiの指摘
5.「ミクロ衡量」と「製造物責任法リステイトメント」
6.「マクロ衡量」と「製品分類別責任」
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その二> 製造物責任法 第II章 設計欠陥(design defect) 第三節 政策決定的な製品設計 1.「ポリセントリック」(polycentric)"設計選択"(design choice) 第19回 『国際商事法務』37巻4号550−55頁(2009年4月)
2.「意識的な設計選択」(conscious design choice) A.「Dawson対Chrysler Corp.」判例
B.代替設計案と"リーズナブルネス"の問題
C.「Dawson」判例と「製品分類別責任」(category liability)の問題
D.「衝突耐性」(crashworthiness)型訴訟
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その二> 製造物責任法 第II章 設計欠陥(design defect) 第三節 政策決定的な製品設計 3.「ポリセントリック」(polycentric)問題とFullerの指摘 A.「ポリセントリック問題」に関する私見 第20回 『国際商事法務』37巻5号692−95頁(2009年5月)
B.製品分類別責任(category liability)と.「ポリセントリック問題」
C.私見―「フォード・ピント事件」再考
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その二> 製造物責任法 第II章 設計欠陥(design defect) 第四節 欠陥基準の国際比較 1.ドイツ/欧州の欠陥基準 第21回 『国際商事法務』37巻6号835−41頁(2009年6月)
2.日本の欠陥基準
3.アメリカと比較した日欧製造物責任法の後進性
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その二> 製造物責任法 第III章 警告懈怠(failure to warn) 第一節 『耳無し芳一』と過失(fault) 1.「Flaminio対Honda Motor Co.」判例 第22回 『国際商事法務』37巻7号987−90頁(2009年7月)
第二節 リステイトメント(第二次)不法行為法§402A「コメントi」問題  (fault) 1.「American Tobacco Co.対Grinnell」判例
2.コメント

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その二> 製造物責任法 第III章 警告懈怠(failure to warn) 第二節 リステイトメント(第二次)不法行為法§402A「コメントi」問題  (fault) 3.煙草訴訟 第23回 『国際商事法務』37巻8号1125−31頁(2009年8月)
4.煙草と製品分類別責任
第三節 販売後の警告義務 1.「Liriano対Hobart Corp」判例
2.コメント
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その二> 製造物責任法 第IV章 保証違反(breach of warranties) 第一節 保証責任総論
第二節 明示の保証(express warranty) 1.要件 第24回 『国際商事法務』37巻9号1270−73頁(2009年9月)
2.虚偽の事実の要件
3.「取引の基礎」("basis of the bargain")
4.直接の買主(an immediate buyer)以外の者への明示の保証違反(2003年改定) A.遠い購入者(remote purchasers)に対する“商品に付帯する”表明(Sec.2-312A)
B.遠い購入者(remote purchasers)に対する“宣伝”(Sec.2-312B)
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その二> 製造物責任法 第IV章 保証違反(breach of warranties) 第三節 商品性の黙示の保証(implied warranty of merchantability) 1.要件 第25回 『国際商事法務』37巻9号1413−18頁(2009年10月
2.「商品性」(merchantability)
3.「公然かつ明白な危険」("open and obvious danger")
4.通常の使用(ordinary use)
5.商品性の欠如と「誤作動」(malfunction)型事件
6.「商品性欠如」(unmerchantability)と「欠陥」(defect)の一致(2003年改定)
第四節 特定目的への適合に関する黙示の保証(implied warranty of fitness for particular purpose) 1.要件
2.信頼したこと(reliance)
3.技能と判断への信頼(reliance on the seller's skill or judgment)
第五節 privity(関係)と免責条項(disclaimers) 1.垂直的関係(vertical privity)の廃止
2.水平的関係(horizental privity)の廃止
3.免責条項(disclaimers)
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その二> 製造物責任法 第V章 不実表示(misrepresentation)と警告欠陥以外の「欠陥マーケティング」("defective marketing") 第一節 三種類の不実表示 第26 回 『国際商事法務』37巻11号1551−54頁(2009年11月)
第二節 製造物責任法リステイトメントの規定する不実表示
第三節 警告欠陥以外の「欠陥マーケティング」("defective marketing") 1.「ミスマッチ」訴訟("mismatch" cases) A.「過失的宣伝」訴訟("negligent advertising" cases)
2.「過失的マーケティング」と、銃訴訟と、ファスト・フード肥満訴訟 A.銃訴訟
B.ファスト・フード肥満訴訟
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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation) 第一節 「Liebeck対McDonald's」事件 1.事故の模様 第27回 『国際商事法務』37巻12号1699−1704頁(2009年12月)
2.提訴前の相対交渉
3.提訴と提訴後の和解交渉
4.トライアルにおけるπの主張
5.トライアルにおける凾フ反論
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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation) 第一節 「Liebeck対McDonald's」事件 6.評決(verdict)と陪審インタビュー(jury interview) 第28回 『国際商事法務』38巻1号118−20頁(2010年1月)
7.トライアル後手続(公判後手続)(posttrial pratices)
8.その後
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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation) 第二節 「Huppe対Twenty-First Century Restaurants of America, Inc.」判例 1.「Huppe」判例のケース・ブリーフ 第29回 『国際商事法務』38巻2号268−70頁(2010年2月)
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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation) 第三節 「Nadel対Burger King Corp.」判例 1.「Nadel」判例のケース・ブリーフ 第30回 『国際商事法務』38巻3号409−13頁(2010年3月)
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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation) 第三節 「Nadel対Burger King Corp.」判例 2.コメント A.独立参入・中断原因について 第31回 『国際商事法務』38巻4号554−59頁(2010年4月)
B.設計欠陥の基準について
C.危険の「甚大さ・程度」までは知らなかったという主張について

四節 「McMahon対Bunn-O-Matic Corp.」判例
1.「McMahon」判例のケース・ブリーフ [途中まで]

38巻5号2010年5月は、IBLの編集の都合上、分載お休み。

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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation)
四節 「McMahon対Bunn-O-Matic Corp.」判例
1.「McMahon」判例のケース・ブリーフ [前回の続き] 第32回 『国際商事法務』38巻6号848−53頁(2010年6月)
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その二> 製造物責任法
第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation)
四節 「McMahon対Bunn-O-Matic Corp.」判例
2.コメント A.抑止 第33回 『国際商事法務』38巻7号999−1003頁(2010年7月)
B."ナイフ"のアナロジーと「本来(内在)的/不可避的に危険な製品(inherently/unavoidably dangerous products)
C.持ち帰り用ホット・ドリンクの最適温度は?
D.なぜ、陪審員は、適正温度を低く評価したのか
E.「あと知恵」でπに都合の良い警告ぎむ主張
F.πの言うなりに警告義務を認容すれば稀釈化が生じる
G. "CBA"と警告内容
H.警告と認知上の限界
I.自己責任と日常生活上の危険
J.設計欠陥は"過失"責任である!
K.Nadel」判例の「two-pronged test(二支基準)

38巻5号2010年8〜10月は、IBLの編集の都合上、分載お休み。

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その二> 製造物責任法 第VI章 ホット・ドリンク火傷訴訟(hot beverage litigation)
四節 「McMahon対Bunn-O-Matic Corp.」判例
2.コメント L.熱過ぎる飲み物のクレームと、何処まで危険を知らなければならないか? 第34回 『国際商事法務』38巻11号1589−1595頁(2010年11月)
M.「ジャンク・サイエンス」と専門家承認(「Daubert」ルール)
N.代替設計案は「熱くない(?)ホート・コーヒー」
O.「製品分類別責任」とホット・ドリンク
P.「便益」を無視した欠陥認定は許されない
Q.ホット・コーヒーの"CBA"
R.無過失責任/危険(損失)分散を否定する理由
3.「Liebeck」事件の事実を用いた持ち帰り用ホット・コーヒーのCBA試算 A.最適な事故防止費用
B.期待事故費用が極度に小額になった理由
C.危険の価値評価と、「不均衡基準」と、「支払意思額」<「受入補償額」(WTP<WTA)

エンジニア*と、
モノつくり≠通じて社会に貢献する人々に捧げる。


* ロイヤー・ジョーク火星飛行士に最適な資質(The Right Stuff (ライト・スタッフ))

火星に人類を送り込むミッションを検討中のNASAに於いて,人選が始まった。このミッションの最も問題な点は,一人しか選ばれず,しかも片道切符である点だった。行ったら最期,二度と地球には戻れない宇宙飛行士の選考。その対価として幾ら欲しいのかを,候補者に尋ねることになった。
候補者の一人,エンジニア℃≠ヘ「一億円」と答えた後,続けてこう言った。「その一億円を母校に寄付します。」
次の候補者の医師≠ヘ,同じ質問に対し「二億円」と答え,こう付け加えた。「その内の一億円を家族にあげて,残りは“医学向上基金”に寄付したい」と。
最期の候補者は弁護士≠ナ,返事を小さな声で囁いた,「三億円です」と。
面接官が「なぜ前の二人よりもそんなに高額なのだね?」と訊くと,弁護士は更に小さな声で囁いた。
「あなたが三億円をくれれば,私はその内の一億円をあなたに差し上げます。そして残りの額から一億円を私がいただいて,… あとはエンジニアに行ってもらいましょう!」

拙考「『法と文学』と法職倫理(第8回)」『際商』Vol.29, No.11, 1401, 1402 (200111).

はしがき

  筆者がアメリカ不法行為法に、中でも製造物責任法に興味を抱くこととなったのは、undergraduate studyを終えて社会人として企業に就職して直ぐのことであった。職務として、アメリカを中心とする様々な国際製造物責任訴訟の管理業務[1] を引き受けた筆者は、この分野の様々な問題や矛盾と向き合うことを余儀なくされた。

  中でも最も印象に残っているのは、1980年代に数年に亘って続いた、中西部のある連邦地方裁判所に於ける「衝突耐性」(crashworthiness[2] を問う訴訟である。原告側弁護士からの、「質問書」や「書類等提出要求」、更には「証言録取」等と呼ばれる膨大な「開示手続」(discovery)要求[3] に対応し、長期の「トライアル(公判)前手続」pre-trial procedure)を終えて、事件はいよいよ「トライアル」(正式事実審理)に突入した。

  「ヴォア・ディーア」(voir dire:予備尋問)と呼ばれる陪審の選別段階から始まり、各陪審員の背景分析から、証拠調べ段階に於ける陪審員の反応・表情の機微に至るまで、一喜一憂する毎日。当時は未だ中西部では、たとえ重要訴訟のみを扱う連邦裁判所[4] に於いてさえも日本人が法廷に登場することが珍しかった為からか、連邦判事は自分の小さな子供を法廷に連れてきて、社会科見学≠させていた。

  被告が欠陥を主張されている自動車と同型車(an exemplar vehicle)のカット・モデルを「展示証拠」(demonstrative evidence[5] として証拠採用するように申し立てると、それが気に食わない原告側弁護士は、陪審員抜きで行われる申立の裁定手続の際に、その証拠をわざと乱暴に取り扱って壊そうとさえした。陪審員を法廷に呼び戻して証拠調べが再開すると、良心的に設計を行った被告のエンジニア(証人)に対し、その原告側弁護士は無礼な質問を矢継ぎ早に浴びせ掛けた。 「礼儀正しさ」を欠く(incivility)そのような「訴訟弁護士」(litigators)の態度は一般に、その後アメリカの法律実務で問題になったけれども、数週間続いたトライアルの後に陪審は結局、原告を勝訴させる評決(verdict for the plaintiff)を下した。しかも、「ミリオン・ダラー・ヴァーディクト」と呼ばれる、億単位の高額な損害賠償を命じる評決であった。

  「トライアル(公判)後手続」(post-trial procedure[6] に於いて被告が提出した各種申立も、連邦判事は却下し、評決を受け入れる判決を下した。

  …。


[1] 企業法務は、通常、その大きな比重を占める「予防法務」(e.g., 契約書起案や契約交渉、社内契約審査、等)以外にも、訴訟等への対応・管理という「争訟(臨床)法務」も、主要な業務の一部を構成している。 See, e.g., 拙考「国際法務戦略」in林昇一&高橋宏幸 編集代表『戦略経営ハンドブック』466, 469(2003年、中央経済社).

[2] 「衝突耐性」(crashworthiness)については、see infra第四部、第II章中の「第三節 政策決定的な製品設計」内の D.「衝突耐性」(crashworthiness)型訴訟>の項.

[3] 「質問書」等の「開示手続」については、see infra 第一部、第I章中の「第三節 民事訴訟法上(含、証拠法等)の法律用語・概念に関する説明」「1. 訴訟の大まかな流れ」内の F. トライアル前手続>の項.

[4] 連邦裁判所の連邦裁判管轄権は、一定の基準を満たす事件のみを扱う。州内の原告対州外の被告(含、外国企業)との間の訴訟の中でも一定額以上の訴額が係わる「州籍相違裁判管轄権」(diversity suits)が、その例である。

[5] 訴訟に於ける「展示証拠」(demonstrative evidence)の効果的な使用についての実務的な論文として、see, e.g., Mary Quinn Cooper, Practitioner’s Guide: The Use of Demonstrative Exhibits at Trial, 34 Tulsa L.J. 567 (1999) (筆者と共に本件訴訟の防禦を担当した法律事務所のパートナーによる論考).  学術的な説明としては、see, e.g., McCOMICK ON EVIDENCE §§212-217 (John William Strong, 4th ed. 1992). 証拠採用の可否に関するルールは、see FED.R.EVID. 611(a).  See also id. R. 403 (probative valueよりもunfair prejudice等々が実質的に凌駕する場合には排除される).

[6] 「トライアル後手続」については、see infra 第一部、第I章中の「第三節 民事訴訟法上(含、証拠法等)の法律用語・概念に関する説明」「1. 訴訟の大まかな流れ」内の G. トライアル後の手続>の項.

目次

第一部 不法行為法の概要

第二部 不法行為法の学際的原理

[以下、「補追」内]

第三部 判例と学説その一: 故意、過失、厳格責任、他

第四部 判例と学説その二: 製造物責任

第五部 判例と学説その三: 名誉毀損とプライバシー権とサイバー・トーツ

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