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ジョン・グリシャム
法と文学

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ジョン・グリシャム著『依頼人』の研究

中央大学教授(大学院&総合政策学部)
米国弁護士(NY州法曹界所属)
平野晋

Susumu Hirano
Professor, Graduate School of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN)
Member of the NY State Bar (The United States of America)
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当サイトは小説家・米国弁護士のジョン・グリシャムの作品の研究、批評、およびそれを通じた法律学の研究・教育用サイトです。  

『依頼人』 (THE CLIENT)


Up-loaded on  Nov. 15, 1999.   1st proof reading on Feb. 25, 2003.
 
あらすじ

マフィアのお抱え弁護士が林の中に自動車を停めて自殺するところに、近所に住む11歳の少年マークがたまたま居合わせてしまう。その弁護士は自殺する寸前に、マフィアが殺した上院議員の死体の隠し場所をしゃべったために、マークはマフィアとFBI&検事(上院議員の失踪事件を追っている)との両者から追われて身の危険にさらされる。マークは、助けを求めてたまたま訪れた法律事務所に女性弁護士レジー・ラブを見い出し、代理人に選任する。レジーはかつて、人生に一度失敗して、離婚とアルコール中毒から立ち直った中年で、母性愛に満ちた女だった。かくして、レジーはマークの代理人となることを受任し、弁護士・依頼人間の秘匿特権などを盾にしてFBI&検事(なお映画の中の検事役はトミー・リー・ジョーンズが好演)からも少年を守っていく。しかし出世欲に満ち満ちた検察官とFBI、そしてマフィアは、次第にマークへの圧力を強めていく。

最後は、レジーとマークの協力により、マーク一家の証人保護プログラムばかりか、多額の生活費と弟の心理的トラウマへの療養までも獲得して終わる。(この辺の終わり方は、『法律事務所』に似ている。)


総評

感情に欠けて計算高い、というロイヤー・バッシングなステレオタイプの弁護士像とは正反対の、弱い者の味方というキャラクターを、人生に一度失敗した中年の女性弁護士という役に与えたストーリーはなかなかイケてます。(映画ではスーザン・サランドンが好演技を見せてくれてます。)少なくとも『評決のとき』の主人公の若手男性弁護士よりは、「青臭い」正義漢を振りかざす嫌味が抜けていて良いと思われます。(そういえば『評決のとき』はグリシャムの処女作ですから、青臭くても止むを得ないかもしれませんね。)  

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リチャード・ポズナー(シカゴ大学兼任講師・連邦控訴裁判所第七巡回区裁判長による評価)

そもそもは「法と経済」の分野で有名になったポズナー判事は、もう一つの学際分野である「法と文学」の研究者としても非常に有名です。そのポズナーは、グリシャムの「依頼人」を次のように酷評しています。
 

出典: RICHARD A. POSNER, LAW AND LITERATURE 35-36 (Revised and Enlarged Ed. 1998).

う〜ん、これは厳しい評ですが、法と文学を「堅く」研究するポズナー先生には、大衆文学がお気に召さなかったようです。
 



グリシャムの描く女性法曹の姿が女性に対するステレオタイプを助長・永続化させるというフェミニズム的視点からの批判

(当論文のもう少し詳しい紹介については、「ジョン・グリシャムへの批判」のページを参照。)

出典: Carrie S. Coffman, Gingerbread women: Stereotypical Female Atttorneys in the Novel of John Grisham, 8 S. CAL. REV. OF L. AND WOMEN'S STUD. 73 (1998).

『依頼人』におけるレジー・ラヴ: 「母性愛を感じさせる母親型女性」



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