Susumu Hirano, Professor of Law, Graduate School of Policy Studies and Faculty of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN); Member of the NY State Bar (The United States of America)
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当サイトは小説家・米国弁護士のジョン・グリシャムの作品の研究、批評、分析、およびそれを通じた法律学の研究教育用サイトです。
関係ページは 「ジョン・グリシャム」を参照下さい。
First Up-loaded on July, 2005.
(without proof)
出典: JOHN GRISHAM, THE BROKER (1st ed., Feb. 2005) (ハードカバー版).
【公表書評より】
To Be Filled.
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どこか正体不明な国(実は中国であった、と後に国防省の制服組高官からJoel Backmanが知らされる)が打ち上げた軍事偵察人工衛星に、パキスタン人の三名の天才的若者がハッキングに成功。更にはそれを操ることが可能なプログラムまで作り上げてしまう。 このプログラムを高額で売りたいという若者達からの依頼を、ロビイスト弁護士の主人公Joelが受任する。 Backmanは愛国心よりもお金を優先させ、高くプログラムを買いそうなサウジアラビア等と交渉に入る。 しかし、危険すぎるそのプログラムを巡って、中国やイスラエル(Mossad)や米国CIA等の情報機関が動き出し、命が狙われるはめになったJoel。 連邦政府から脱税の容疑で公訴され、即座に有罪答弁を行って命の安全な刑務所に逃げ込むことに。 その後Backmanは、任期切れ最後の時期を迎えた大統領による恩赦で刑期の途中で刑務所を出る。 しかしCIAは、彼をイタリアに行かせて監視下に置き、誰が彼を暗殺するのかを見届けることで、人工衛星の所有国を見つけ出そうとするのだった。 潜伏中のイタリアに、中国やイスラエルの暗殺者達が迫ってくる中、Joelは淡い恋愛に堕ちたイタリア語の家庭教師夫人や、アメリカの田舎町に居る弁護士の息子Neal Backmanの手を借りるながら、危機一髪のところでDCに帰還する。 最後には良いことをしよう[と描かれているけれども、それのみならず、命の保障を国から得るために?!]Backmanはプログラムを国務省に引渡し、同省はできる限りの安全をBackmanに与えることを約束する。 最後にJoelが家庭教師夫人の居るイタリア(ボローニャ)に向かうことを暗示して物語りが終わる。
中盤で、イタリアでの生活(イタリア語のレッスンまで描かれるのは如何なものかと…)が長々と描かれている部分は、正直ダレた印象を受けます。 これまでの作品と共通して、マスコミ、大金、逃げる・追う、CIA等の巨大組織に批判的、といったスタンスは描かれています。
特に後半の四分の一位からは、「ストーリー・テラー」のグリシャムらしく、テンポも速くサスペンスを描けており一気に読ませてくれます。 圧倒的に力の勝った巨大組織(CIA、モサド、中国暗殺者等)の追っ手から、(アメリカ弁護士的な)英知を駆使して逃げて逃げて逃げおうすという展開は、『法律事務所』や『ペリカン文書』等で見せたグリシャムの力量を感じさせます。 法律小説(リーガル・スリラー)というよりも、スパイ小説的なので、リーガル・スリラーを期待するとそこは満足させられないかもしれません。
最後には、主人公Backmanが、お金至上主義な心を入れ替えて、善行をしようという意図で【注】、問題の中国の軍事人工衛星を操れるプログラムを無償で国防省に引き渡すという展開は、少し考えると実は、単なる無償な善行ではなく、自らの命を国防省に保障してもらうという「対価」との交換関係になっているようにも評者には思われます。 すなわちここでも[アメリカのロイヤー・ジョークに典型的な]、狡賢い弁護士が危機一髪の場面でもきちっと対価を得る、という姿勢(『法律事務所』の主人公ミッチーにも共通します)が表れている、と意地悪く解釈することが可能かもしれませんね。:-)
【注】 以下の記述を通じて、主人公の内面の意思が表されています。
What a miserable mess of a life he'd lived, so far anyway. As much as he'd like to go back and do it differently, he had no time to waste on such thoughts. You've only got a few years left, Joel, or Marco, or Giovanni, or whatever the hell your name is. For the first time in your life, why don't you do what's right, as opposed to what's profitable?
GRISHAM, THE BROKER, at 313 (emphasis added) (主人公Joelがイタリア潜伏中およびそこからの逃亡中に使用した偽名を挙げながら自らを省みるシーンから).
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グリシャム作品に特徴の盗聴器等の装置(軍事人工衛星までもが登場します)や組織が、今回は相当多く登場します。
時代の変化かもしれませんが、『法律事務所』ではファックスが電気通信手段として登場していたのですが、今回は、インターネット、携帯電話とSIMカード(しかもプリペイド式!)、無線LANやネット・カフェや、電子メールとその暗号化機能等が大活躍。
CIA等のスパイ活動について今回相当描かれていますが、筆者自身のあとがきによれば、グリシャムは全くの素人であり、実際の活動と万が一近似していたならばそれは偶然にすぎない、とのことです。
以下は、イタリアの最大手電気通信会社TIM(ティム:Telecom Italia)がブランド名としても登場する、モバイル・インターネットの機器とサービスを主人公の息子Neal Backmanがイタリアに潜伏中の父親Joel Backmanの為に調達するシーンです。
"What about a pre-paid SIM card?" he asked.
"We got' em. For Italy it's called a TIM - Telecom Italia Mobile. It's the largest provider in Italy, covers about ninety-five percent of the country."
GRISHAM, THE BROKER, at 190 (emphasis added).
以下は、認証機能としてスイスの銀行が「バイオメトリックス」を用いることを記述した今日的な部分です。
They asked him to place both hands on a biometric fingerprint scanner. It would compare his fingureprints to the ones he left behind almost seven years ago, at this same place, and when the perfect match was made there would be more smiles, then a nicer room, a nicer lobby, the offer of coffee or juice. Anything, Mr. Blackman.
Id., at 309 (emphasis added).
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今回も多数登場します。 以下、例示です。
... Hewlett-Packerd computers ... GRISHAM, THE BROKER, at 37 (emphasis added).
... he bought three small bags of Fritos corn and two Dr. Peppers. Id at 46 (emphasis added).
The small rectangular lenses were secured by thin black metal, very European frames. "Armani," Luigi said, with a trace of pride. Id at 59 (emphasis added).
..., Joel Backman left the bank building riding shotgun in a shiny green BMW four-door sedan. .... The driver was Franz. ..., and when Joel let it be known that he was in somewhat of a hurry, Franz slipped into the left lane and hit 150 kilometers per hour. Id at 316 (emphasis added).
At exactly 4:00 p.m., while sitting in a Starbucks coffee shop on Massachusetts Avenue, Neal took his cell phone and dialed the number given by Major Roland. Id at 339 (emphasis added).
An hour later, Joel checked out of the Marriot and enjoyed a long walk through the cool air. Id at 344 (emphasis added).
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DCのロビイスト的な法律事務所の姿が、皮肉も少し込めて、以下のように表されています。
At that time Backman, Pratt & Bolling represented many foreign companies and governments. In fact, the firm was "the" address for anyone looking for instant clout in Wachington. Pay their frightenng fees, and you had yourself access. Its endless list of clients included the Japanese steel industry, the South Korean government, the Saudis, most of the Caribbean banking conspiracy, the current regime in Panama, a Bolivian farming cooperative that grew nothing but cocaine, and on and on. There are many legitimate clients, and many that were not so clean.
GRISHAM, THE BROKER, at 41 (emphasis added). なお、日本の鉄鋼業界が依頼人だと書いてありますが、これは本当によくある話で、何故ならば、鉄鋼などはしばしばアンチ・ダンピング等の連邦法の制裁の対象になってきた歴史があり、その制裁はDCの政治で左右される問題でもあるので、DCのロビイスト的な法律事務所が活躍する場になるからです。
以下もDCのロビイスト的な法律事務所の姿を皮肉って描いています。
"He can't practice law, can he? I thought they yanked his license."
"That wouldn't stop Backman. He'd call it 'government relations' or 'consulting' or something else. It's lobbying, that's his speciality, and you don't need a license for that. Hell, half the lawyers in this city couldn't find the nearest scourthouse. But thet can damned sure find Capital Hill."
Id, at 69 (emphasis added) (脱税で有罪の主人公Backmanは弁護士資格を剥奪されても、ロビイストとしてはやっていける、そもそも多くのDCの弁護士達は法廷実務とは縁遠い、議会政治との仕事で生きていると示唆).
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今回は主人公を、「僕は」とか「私は」などの主語(一人称)とする書き方ではなく、「神の目」から第三者の行動や心証を追っていく書き方を主に採用。 主人公を一人称で描くという書き方の類似型としては、『レインメーカー』、『評決のとき』など(これらも一人称だったように記憶しているが)あります。
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イタリア語の女性家庭教師(大学教授の夫が末期癌で死ぬ寸前)と、主人公との間の淡い大人の恋心が描かれています。
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舞台はワシントンD.C.。以下の作品にも登場する、グリシャムの好きな(?)場所のひとつ。 『ペリカン文書』『陪審評決』『路上の弁護士』『THE TESTAMENT』『THE BRETHEREN』『THE KING OF TORTS』。
以下、DCのジョージタウン地区が大学町で(何故ならGeorgetown大のキャンパスがあるから)、酒場も多いことをうかがわせる表現です。
..., Sanberg called Pratt and arranged a meeting at their favorite place, a college bar near Georgetown University.
GRISHAM, THE BROKER, at 69.
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グリシャム作品ではアイビー・リーグ校出身の弁護士が「やり玉」にしばしば挙げられすが、今回は弁護士ではなく、退任する大統領Morganの側近であるCritzが、Cornell大学時代からの友人であったという描かれ方で、アイビー・リーグが登場します。 See GRISHAM, THE BROKER, at 2.
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【without proof】