法と認知科学」の研究
法と行動主義」の研究 

Law & Cognitive Psychology/Science, Behavioral Psychology/Science, etc.

中央大学 教授(総合政策学部)、米国弁護士(NY州)平野 晋
"[Law is] the enterprise of subjecting human conduct to the governance of rules."
LON L. FULLER, THE MORALITY OF LAW 106 (1964, Yale University Press).

Susumu Hirano, Professor of Law, Faculty of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN); Member of the New York State Bar (The United States of America) . Copyright (c) 2005-2011 by Susumu Hirano.   All rights reserved. 但し作成者(平野晋)の氏名&出典を明示して使用することは許諾します。 もっとも何時にても作成者の裁量によって許諾を撤回することができます。当ページ/サイトの利用条件はココをクリックTerms and Conditions for the use of this Page or Site. 当サイトは「法と行動科学、認知心理学、行動心理学、等」の研究および教育用サイトです。この「法と…」("Law ands")という学際的分野は、以下のように様々な呼ばれ方がしています。

"behavioral law and economics" "new law and psychology" "law and begavioral science"

See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1116 n. 6.

First Up-loaded on Aug. 2005. Rev. on May 10, 2007.

【未校閲版】without proofreading

【注】 このページの研究内容は、印刷媒体として、平野晋『アメリカ不法行為法:主要概念と学際法理』(中央大学出版部, 2006年)488頁に掲載されております。Amazon.co.jp

目次

法律学にとっての認知科学・人間行動分析等の意義

従来型「法と経済学」(含「法と経済学」)への批判から活発化
限定合理性bounded rationality
「合理的選択理論」とは
「価値理論」から「予測理論」の登場: カーネマン&トヴァースキー
「予測理論」とは
不法行為法や製造物責任法等の「事故法」に於いて、「法と行動科学(認知心理学)」が重要な理由
危険を「過小評価」するよりも、むしろ「過大評価」し過ぎるために「抑止過剰」になることを主に問題視する。
危険を完全に除去する方が、危険を単に減少させるよりも、好まれる
「法と…」な学際研究に於いて、「予測理論」を法律学に当てはめる際の問題点
「法と認知心理学」への批判
認知心理学とは何か

アメリカの法律学者が主に用いて来た、認知心理学が指摘する五つの偏見

「法と経済学」に於いて従来の「合理人」をモデルとしたことが不適切な例

法律学に応用される認知科学・人間行動分析的用語・諸概念 (総論)

Bias 偏見

「偏見」と「ヒューリスティクス」の違い

Belief Bias

Deductive Reasoning 演繹的推論

Inductive Reasoning 帰納的推論

probability neglect蓋然性無視)

   base rate neglect (基準値の無視)

Bayesian Rule (ベイズの定理)
Gambler's Fallacy (ギャンブラーの誤謬)
law of large numbers / small numbers (大数の法則/少数の法則)

Framing フレイミング

Motivated Inferences
Prototype

Heuristic[s] ヒューリスティック(簡便法、近道)

語源と研究の歴史
ヒューリスティックスへの法律学からの批判
Case-Based Decision Theory 

Representative Heuristic  (代表性ヒューリスティック)

inverse fallacy (逆転錯誤)

Availability Heuristic (入手容易/利用可能性ヒューリスティック)

Availability Cascade / Informative Cascede
Moral Heuristics (倫理ヒューリスティック)

Recognition Heuristics [見覚え意思決定(再認ヒューリスティック)] / Flucency Heuristics [流暢さヒューリスティック]

Hindsight Bias (あと知恵≠ノよる偏見)

Outcome Bias (結果的偏見)

Scenarios

Anchoring / Anchoring & Adjustment  (投錨と調整

Attribution Error 
Decision Utility 対 Experience Utility
Loss Aversion 損失回避

Reference Point[s] (参照点依存性)

Status Quo Bias  [現状執着性向] / Ommission Bias [不作為性向]
Extreme Aversion

Self-Serving Bias, Unrealistic Optimism, and Over-Confidence (自己奉仕的偏見、非現実的楽観主義、自信過剰)

motivated reasoning
Selective Fatalism

Affect Heuristic (感情・愛情・情緒ヒューリスティック)

Cognitive Disssonance [Theory]
De-biasing Techniques
Fairness & Cooperation
Myopic
スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事件の教訓

Willingness To Pay < Willingness To Accept  

___________________.

法律学上の適用例 (各論)

 陪審員の偏見・誤謬

危険効用分析が陪審員には出来ず、かつ、危険を過大評価するために高額過ぎる代替案採用を強要される問題
特に懲罰賠償が絡む製造物責任訴訟に於いて陪審員は偏見により「報復者」として振る舞う為に、最適な抑止を実現できない問題
最も知識の少ない陪審員に従った陪審がより良い判断を下す場合(「Recognition Heuristics」の再掲)

 裁判官の偏見・誤謬

 パターナリスティックな政府規制の正当化

 裁判所ではなく専門官庁の規制に判断を委ねるべき

 立法も入手容易性ヒューリスティックによって規制過剰

 費用対便益分析を用いることにより、大衆が危険性の度合いを誤って認識し、それに引きずられて官庁が客観的には危険性の低い部分が高額な防止策費用を費やす愚を回避すべき

法は複雑であるよりもシンプルな方が人々の行動に影響を与え得る

 偏見・誤謬が生じ易い不法行為訴訟の類型

 過失基準(不法行為)

 慣行を過失基準にして誤った過失責任判断を回避する

 エンタープライズ責任(EL)の是非

 警告表示義務の射程

 弁護士による人心操作的レトリック

 高額な賠償金を認定させるための「フレイミング」を用いた話法
 陪審員の情へ訴える

___________________.

「法と認知心理学」「法と人間行動分析」等の研究分野に於ける代表的な研究者(例)

出典・参考文献

First Up-loaded on Aug 2. 2005.

 

法律学にとっての認知科学・人間行動分析等の意義

人の判断や行動に関しては、既に、諸学門分野に於いて研究されて来ました。
哲学の分野からは「演繹的論理」として、経済学からは「合理的選択理論」としてです。

See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1173.

これに新たに心理学的な視点を中心として、以下のような諸理論や諸概念が指摘されるように成って来ました。

従来型「経済学」(含「法と経済学」)への批判から活発化

「法と経済学」者が依拠して来た「合理的選択理論」(rational choice theory)や「期待効用理論」(expected utility theory)への批判から、人間行動学的な学際的視点が、近年のアメリカ法律学に於いて活発して来ました。
合理的選択理論」とは、人が結果[利益]極大化を目指した合理的な判断・行動を行うはずだという前提に立つ考え方です(詳しくは次段参照)。
しかし実際には、人は、必ずしもそのように合理的に行動しないではないかという疑問を、法と経済学に批判的な法律学者達は抱いていました。
ここに於いて、ちょうど、同じように経済学の前提に疑念を抱く二人の高名な認知心理学者(cognitive pshychologists)が登場し、人の判断・行動が必ずしも合理的ではないという研究成果(「予測理論Prospect Theory)を発表しました。--- ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴァースキーです。
予測理論」は人が結果極大化を目指すという前提に於いては「合理的選択理論」と同様ですけれども、しかし、人は、しばしば、システマチックかつ予測可能な程度に結果極大化に反する判断・行動をすることを、実験主義的に指摘しました。

See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1115-16.

「限定合理性」(bounded rationality)

限定合理性」という概念を生み出した最初の経済学者は、Herbert Simon(ハーバート・サイモン)で、人間の認知能力は無限ではなく、我々の計算能力は限定的であって記憶力にも重大な欠点があると指摘。See Gigerenzer, Heuristics, infra, at 22. See also 友野 『行動経済学』infra, at 31.
限定合理性」については、see 平野  『アメリカ不法行為法infra, at 352-53.

「合理的選択理論」とは   

古典的な「法と経済学」(R.A.ポズナー判事)が拠って立つ理論。
「ゲームの理論」(game theory)の業績に由来します。 モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」,  infra, at 20. 
危険(risks)と便益(benefits)が含まれる決定を行う際に、個人は常に自らの「期待効用」(expected utility)の「極大化」(maximization)(*1)を試みることを前提としています。 See id. at 20. See also 平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 216 & n.10.
個人は危険を評価し、安定した選好」(stable preferences(*2)の中から効用を極大化するような選択を行いますモントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at ___.
(*2)安定した選好」とは、様々な選択肢の中で何をより選好するのかについての人の意識が一定していることです。 See Jacoby, Is It Rational to Assume Consumer Rationality? at 106.

____________________.

アメリカの法律学者は、「行動的意思決定論」(behavioral decision theory)の成果を用いて、人は判断をする際に、システマチックに誤りをおかすという指摘をしはじめました。   人が誤るという指摘は、合理性を前提にした「法と経済学」の土台を崩すことになります。   すなわち、自由市場に於ける個人個人の選択が、全体として生産者に対して望まれている商品の生産を指摘することにより、社会全体としての生産が個人全体の嗜好を反映し[社会的に望ましい状態になる]という考え方が、個人が認知的に誤謬をおかすという知見により、揺らいで来たのです。

See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1175.  See also ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 934 (同旨).

[初期の]経済学のモデルは、価格と費用という経済的な要素にのみ専ら焦点を当てて、あたかもそれらのみが重大な要素であるかのように扱っていました。その為に、経済的考慮を凌駕することもしばしばある重要な他の非経済的外部性を考慮に入れ損ねたのです。 / [それ以降の]経済学のモデルも、個人の心理的な要素としては必要性、要望、あるいは欲求(モチベーション)のみを考慮すれば良いと前提していました。しかし外部的現実(the external reality)は実際にはフィルターリングされて、知覚され、かつ解釈されるのです。その結果、行動を決するのは、主観的な内面的現実(subjective internal reality)になるのです。 / 更に初期の経済モデルは、総計としての行動に焦点を当て、あたかも全員が総人口の平均的なの構成員と同じように行動するという前提に立っていました。

ジャコビー、「消費者が合理的であると推定するのは合理的か? , infra, at 93-97.

例えば、脂肪分が多いデザートを食べることは合理的ではない[けれども、人々はそのような不合理な行動を採ってしまう]のです。合理的選択理論は、そのよう現象を単なる「異常[値]」(anomalies)として捉えていたので、人間行動を理解する為の包括的な基礎を提供してくれるとは言えないのです。 / 消費者は生命身体にとって客観的に危険であることが知られている諸活動(たとえばスキーやバンジー・ジャンプ等)にさえも関与してしまいます。何故ならそれら危険な諸活動が、スリルとその危険を習得することによって得られる克服感を与えてくれるからです。

Id. at 105, 111.

合理的選択理論が前提に置いていたような「安定した選好」も危ういものです---消費者のブランド・ロイヤリティー(忠誠心)も50%を切ってしまうことが明らかなので、選好が安定しているとは言えないはずだからです。

Id. at 106.

合理的選択理論は、消費者の意思決定・行動に於いて「危険」に関する情報も消費者が考慮に入れると捉える点に於いて、単に「費用」にのみ左右されると前提していた嘗ての経済モデルよりも進化しています。 / しかし消費者は、実際よりも(すなわち客観的な危険よりも)危険を過大評価したり過小評価したりします。世の中には「客観的な危険」(objective risk)と「主観的に認識される危険」(subjectively perceived risk)との二種類が存在するのです。合理的選択理論が客観的危険に焦点を当てるけれども心理的に認識された危険に焦点を当てない限りに於いて、それは消費者による意思決定や行動の現実を包含していないのです。 / 危険にも様々な種類が存在していて、それら諸危険間の消費者による相互衡量過程は複雑なものです。たとえば母親が小さな子供に自転車の操作を習得させるか否かという決定に際しては、子供の友達がその子を見下すという「社会的危険」(social risk)を減少させると共に、自転車に乗ることから得られる喜びを経験することを放棄するという「価値を諦める危険」(value foregone risk)を減少させる為に、母親は子供にとっての高いレベルの「安全上の危険」(safety risk)を受容するという具合に、複雑なのです。

Id. at 110, 112.

「価値理論」から「予測理論」の登場: カーネマン&トヴァースキー

すなわち、後(2002年)にノーベル経済学賞を受賞することになったカーネマンは、トヴァースキー(ノーベル賞の際には残念ながら存命していませんでした)と共に、「価値理論」(value theory)を発表します。CHOICE, VALUES, AND FRAMES (Daniel Kahneman & Amos Tversky eds. 2000).
更にその理論を三年掛けてリファインして名前を変えて登場したのが、「予測理論」(prospect theory)です。Daniel Kahneman & Amos Tversky, Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk, 47 ECONOMETRICA 263 (1979).

See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1115-16.

行動経済学」の誕生元年は、カーネマンとトヴァースキーが『エコノメトリカ』に「予測理論」を発表した1979年であるとして良いであろう。 友野『行動経済学』infra, at 35.

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「予測理論」(prospect theory)とは

人は現状(status quo)を基準として価値を評価し、現状からの損失の方が現状からの取得よりも更に大きな影響を与えるように感受される傾向のことです。

See Hofman & Spitzer, infra, at 87-89.

更に詳しい「予測理論」については、see 平野  『アメリカ不法行為法, infra, at 353-58.

不法行為法や製造物責任法等の「事故法」に於いて、「法と行動科学(認知心理学)」が重要な理由

事故に共通する要素は、「予見の懈怠」(failure[] of foresight)である
モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 27.

危険を「過大評価」し過ぎるために「抑止過剰」になることを主に問題視する。

「法と行動科学(認知心理学)」に関する近年の業績の多くは、以下の点に於いて共通している。すなわち、人は認知的な誤謬ゆえに危険(risk)を「過小評価」(underestimation)するよりも、むしろ「過大評価」(overestimation)する為に「過剰抑止」に繋がってしまうleading to excessive deterrence)ことが問題である、と。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 30-31.

危険を完全に除去する方が、危険を減少させるよりも、好まれる

危険を完全に除去できる場合と、単に減少させる場合の双方が同じく20%の危険減少という数値に於いて同じであっても、人は前者を選好する。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 25. See also 平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 356-57 (ロシアン・ルーレットの例を紹介).

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「法と…」(Law ands)な学際研究に於いて、「予測理論」を法律学に当てはめる際の問題点

なお、予測理論は、実験環境に於ける実験結果に基づくものゆえに、実験室とは異なる実際の法律学に当てはめる際には注意が必要です。
更に、文化的背景や性別、年齢、等によっても、危険性への嗜好が異なるという指摘もあります。   たとえば、中国人の方がアメリカ人よりも、risk preferenceであるという研究成果もあります。

See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1159, 1160 & n.310.  See also 平野  『アメリカ不法行為法, infra, at 399-99 (文化的価値評価諸モデルについて).

「法と心理学」への批判

法律学に於いて使用される「利用可能性ヒューリスティック」の定義が多義的(ambiguity)な為に、あらゆる非合理性(irrationality)と人的災難(human disaster)を「利用可能性」によって説明してしまう虞がある。 / 事後的には何でも説明が可能(to be able to account, post hoc, for everything)という批判に曝されるのである。 / 新しく出現しつつある「法と心理学」という研究領域は、実験結果をひとまとめに提示しつつもその説明を欠いている、理論が欠けている、と批判される。経済学者と法律学者は理論を発展させるよりも、むしろ偏った心理学のサンプルを集めている、と心理学者から批判されよう。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 7-8.

主観的蓋然性判断のアッドホック理論 Ad Hoc Theory of Subjective Probability Judgment 

人の蓋然性判断は、vividな出来事や報道によって左右され易いですし(availability heuristic)、質問や答えの形式を異ならせても左右されますし(後掲framing effects)、好き・嫌いでさえも左右されるのです(後掲affect heurisic)。  主観的蓋然性判断のアッドホック理論に於いては、人は、予測不能で、しばしば一貫生を欠く蓋然性判断を下し、特定の状況に相当程度左右されて、判断過程の経過に従って徐々に発展して行くものと捉えます。

See平野, infra, at 398-400.

個人的嗜好 対 認知 Feeling/Cognition Dichotomy

そもそも人は、個人的な好みや嗜好に左右されて、危険性を選択・判断しがち(たとえば喫煙)です。しかし同時に、客観的な危険性を認識的に誤って選択する部分も存在します。前者のようなフィーリング的嗜好による選択・判断と、後者の認知的誤謬による選択・判断とを区別する(feelin/cognition dichotomy)のは不可能で、人間に於いては両者が絡み合っていると近年指摘されています。  従って、好みの問題であるとだけ決め付けたり、逆に認知の問題だけであると決め付けることも正しくありません。

See ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 951.

同様な概念として、後掲「affect heuristics」も参照。

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認知心理学≠ニは何か?

人間の脳・記憶内に情報があっても、すぐに取り出せる情報と取り出しにくい情報とが混在し、その差異等で人間の判断や人間行動に影響を及ぼします。  そこで、脳によって情報が如何に処理されるかを研究する分野が、認知心理学です。  

See 吉田敦也、他, infra, at 44-59.

すなわち心理学者は、人間の頭脳を、適応力が高いけれども限界もある情報処理機械として捉えて来た訳です。

See ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 220.

人の判断と選択に関する心理学的研究は、認識(perception)と記憶(memory)の研究に使われて来た方法の延長から生じました。判断と選択に関する研究は後に「意思決定の法則、決定理論、行動的意思決定論」(behavioral decision theory)と呼ばれるようになります。

ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1169.

認知心理学は、MITで人工知能プログラムを含む3つの論文が報告された1956年9月11日に誕生した。この日は「認知革命」と呼ばれている。 友野 『行動経済学』infra, at 33.

法律学に於ける意義

法律学の対象は(も)人間ですから、その行動性向を知ることは、より望ましい法を検討する際に不可欠です。

特に法律学の最先進国アメリカでは、従来の、「合理的選択理論」をモデルにしていた「法と経済学」に対する批判・修正として、行動科学や認知心理学的な視点から、人間行動や判断の性向を議論することの重要性が説かれ始めています。

日本法の研究に於いても、この「法と行動科学(認知心理学)」の分析は重要です。たとえば筆者の専門である製造物責任法の日本法に於いては、「経験則」による「事実上の推定」を積極的に活用せよ等と叫ばれていますけれども、その「経験則」というものには実は誤謬があることを、「法と行動科学(認知心理学)」が教えてくれるからです。 (Nov. 7, 2006追記)

「法と経済学」に於いて従来の「合理人」をモデルとしたことが不適切な例

従来は以下の例(a)も例(b)も同じ価値であると看做していました。
(a) もしあなたが省エネ機器を使えば年間ドルを節約できます。
(b) もしあなたが省エネ機器を使わなければ、年間ドルを損します。
しかし実際には、行動科学・認知心理学の研究成果により(b)の方がより有効に人々に効果を与えるので、両者を同価値と看做した従来の「法と経済学」の前提がおかしかったということになります。

See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1177.

ちなみに(b)の方が人に効果的に効くという論点を、「framing」とか「motivated inference」と言います。(See 平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 378; ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 222-23.)
更に、諸活動に伴う危険性を、人はシステマチックに誤って評価してしまう傾向にあることから、うっかりして危険に自らをさらしていることになり、自由市場が必ずしも個人が危険性に自らをさらしても良いという自由意思を反映していないということにもなります。

See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1191-92.

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アメリカの法律学者が主に用いて来た、認知心理学が指摘する五つの偏見

以下の五つの概念が主に法律学に応用されていると言われています。

ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1170-73 & nn.34, 36.

1. Availability Heuristics 入手容易性簡便法

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 361-63.

2. Representative Heuristics 代表性簡便法

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 364-67.

3. Anchoring & Adjustment 投錨と調整

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 367-70.

4. Hindsight Bias あと知恵の偏見

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 370-74.

5. Self-Serving Bias: Optimism, Over-Confidence, and Egocentrism 自己奉仕的偏見=楽観主義、自信過剰、および自己中心主義

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 375-76 & n.97.
@Over-Optimism(楽観過剰主義): 自己の可能性を過大評価。
AOver-Confidence(自信過剰主義): 結果を予見できる自らの能力を過剰評価。
BEgocentricism (自己中心主義): 自らが参加する出来事に於いては自らの果たす役割を過大に言いがち。
多くの法律家が最も多く用い、かつ、重要であると思うのが、上記5.の自己奉仕的偏見。すなわち、自信過剰により人は誤るということになると、これまでの法制度の前提が機能しなくなるとおそれられている訳です。

ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1175.

 

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First Up-loaded on Aug. 2005.

法律学に応用される認知科学・人間行動分析的な用語・諸概念

Bias 偏見

偏見とは、規範的ルールの認識(the perception of a normative rule)からシステマチックに乖離する判断のパターンである。たとえばあと知恵の危険とは...(続きは「Hindsight Bias (あと知恵≠ノよる偏見)」の項を参照下さい)  Babcock, et al., infra, at 916(訳は評者).
「偏見」と「ヒューリスティックス」の違い: 双方共に問題であるとして同一視されがちな両者には、以下のような相違が存在する。「偏見」は「結果」(outcome)としての問題であるのに対し、「ヒューリスティックス」はそのような結果に至る「過程」(process)を表しているのである。 See Gigerenzer, Heuristics, infra, at 18.

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Belief Bias

論理的な結論は無視して、人は信じ易い結論の方を受容し、信じ難い結論は論理を無視して拒絶するという偏見。たとえば以下の結論は、「三段論法(演繹法)的推論」(syllogistic reasoningでは誤りだけれども、受容されてしまう。
全てのフランス人はワインを飲む。ワインを飲む人の中の幾人かはグルメである。従ってフランス人の幾人かはグルメである。
See EYSENCK & KEANE, COGNITIVE PSYCHOLOGY, infra, at 512-__. (評者コメント: 上の三段論法が誤りな理由は、一番大きなグループの輪はワインを飲むグループの輪であり、フランス人というグループの輪はそれよりも小さくてワイン飲みの輪の中の何処かに位置するけれども、そのフランス人の輪と、やはりワイン飲みの輪より小さいグルメの輪とが、論理的には重ならない場合もあり得るので、その場合には三文目=結論が誤りとなり得るからである。)
三段論法的推論 (syllogistic reasoning)とは、二つの前提に結論が引き続くことである。その正否は前提から結論が導き出されるか否かのみで決定されるべきなので、その結論が現実世界で真実か否かとは無関係なものである。
See id. at 512.

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Deductive Reasoning (演繹的推論)

演繹的推論とは、幾つかの前提群(a set of premises)から結論[を導き出す]推論であり、その前提群が真実であると仮定(assumed)すれば必然的にその結論が導き出されるものである。」
EYSENCK & KEANE, COGNITIVE PSYCHOLOGY, infra, at 557(訳は評者).

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Inductive Reasoning (帰納的推論)

帰納的推論とは、例や見本的な現象から一般化[generalization:帰納的結論]それは蓋然性を有するけれども確実なものではない)を形成することである。」
EYSENCK & KEANE, COGNITIVE PSYCHOLOGY, infra, at 561 (訳は評者).

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probability neglect蓋然性無視)

平野  『アメリカ不法行為法』, infra, at 281-82, 419.
危険をcomprehensive baseline dataに基づいて評価せずに、失敗に関する個人の知識に頼ってしまうことから、誤謬が生じる
See モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 26.

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base rate neglect (基準値の無視)

事象の全体に占める割合(基準値)を無視して確率の判断を誤ること。 友野『行動経済学』infra, at 47.
たとえば夜中に黒ずくめの服装の人を見ると、泥棒だと勘違いしがちだが、実際の泥棒の基準値と比べれば確率は低いはず。 Id. at 81. なお当ウエブサイトの筆者には、この泥棒のハイポが後掲「representative heuristics」(代表性ヒューリスティックス)のようにも読めますが、如何でしょうか。

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Bayesian Rule (ベイズの定理)

ある事象が生じる前の「事前確率」(prior probability)に対して、その事象発生結果を反映させて「事後確率」(posterior probability)を求める為の定理。 See 友野『行動経済学』infra, at 47.

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Gambler's Fallacy (ギャンブラーの誤謬)

representative heuristics」(代表性ヒューリスティックス)の項を参照。

law of large numbers / small numbers(大数の法則/少数の法則)

巨視的に母集団を見れば正しい確率が判る(「大数の法則」)にもかかわらず、微視的に少数の標本のみから母集団の確率を判断してしまった為に犯す誤り(「少数の法則」)。 See 友野『行動経済学』infra, at 77.  
representative heuristics」(代表性ヒューリスティックス)の項を参照。

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Framing [Effects] フレイミング[効果] / Frame

「フレーム」(frame)とは、…。
See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 377-84.
トヴァースキーとカーネマンは、フレイミング効果が計算の誤謬(computational errors)というよりは視覚的な幻影(visual illusions)に似ていると指摘しています。
See ラティン, "良き警告," infra, at 1236 & n.183.  See also サンスティーン, 「倫理ヒューリスティック」, infra, at 1590-91.  
更に、カーネマンとトヴァースキーはフレイミング効果について、以下のような有名な被験者の答えを示しています。
See ラティン, "良き警告," infra, at 1236-37 & n.186.
以下の(a)よりも(b)と親が言った方が、子供は喜びます。
 (a)行為Yを行わずに行為Xを行えば褒められる。
 (b)行為Xを行わずに行為Yを行えば罰せられる。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1177 & n.15.

"Accept" Frame 対 "Reject" Frame

選択肢AとBがあり、かつ、AにはBよりも肯定的要素と否定的要素の双方で勝っている場合、人々は、「二つの選択肢の内のどちらを受容するか?」と問われればAを選択しがちです。しかし「二つの内のどちらを拒絶するか?」と問われればBを選択しがちです。なぜなら前者「受容フレイム」に於いては肯定面が目立ち、逆に後者「拒絶フレイム」では否定面が目立つからです。
この認知的な反応は、裁判官や陪審員に対してのレトリックに於いて応用可能です。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1181.

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Motivated Inferences(推論)

人は、「75%脂肪カットのハンバーガー」と言われた方が、「脂肪25%含有のハンバーガー」と言われるよりも、好ましいと捉えてしまいます。「脂肪カット」という表現の方にpositive feelingを抱くからです。
See ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 222-23.
思考機構の探求においても、文章理解の機構の解明が必要になってくる。…文章理解も、そこに表現されている情報だけを解釈するのではなく、理解者の既存の知識(=世界知識:world knowledge)が関与している点で、それ自体が思考であり推理であるといえるのである。文章理解において、明示された意味情報から文脈に応じて暗示された新たな意味情報を生成する操作を推論(inference)と呼ぶ。」
吉田敦也、他, infra, at 87 (emphasis added).

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Prototype プロトタイプ

プロトタイプとはあるカテゴリーを代表する典型的な事例の意味で用いられることが多い。  ... ある概念をあらわすための構造化された知識の集合体の一種
吉田敦也、他, infra, at 73 n.1 (emphasis added).
…概念の表象を解明することとも関連してくる。… たとえば『家具』というカテゴリーの事例には典型性(typicallity)の違いがある。『椅子』は典型事例だが『ストーブ』は非典型事例であると評価されるのである。そしてカテゴリーには最もカテゴリーらしいプロトタイプ(prototype)[]が存在すると想定されている
吉田敦也、他, infra, at 89 (emphasis added).
以上の説明を読んだ後に、後掲のrepresentative heuristicsSee ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 221.の例を読めば理解が深まるでしょう。
代表性ヒューリスティックは、野球のスカウトが、成功したプレーヤーを「プロトタイプ」として思い描いて、そのプロトタイプに基づく判断をして失敗を犯す事例を説明できます。
See サンスティーン, 「倫理ヒューリスティック」, infra, at 1562.

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Heuristic[s] ヒューリスティック[ス] (簡便法、近道)

定義: ヒューリスティックとは…。 See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 359-61(第二部、第III章).
語源と研究の歴史: 語源を有するギリシャ語の意味は、「発見に資すること」(serving to find out and discoverである。 20世紀の前半は「ヒューリスティック」という文言をその語源通りの意味で用いていた。すなわち、たとえば情報を探し回るような、探求的行動(explarotary information)を意味していたのである。研究の当初、「ヒューリスティック」はコンピュータを人間のように賢くさせる意図をもって(to make computers as smart as humans人工知能やチェスに導入された。たとえばチャスのような膨大な検索空間の中からリーズナブルな解を発見する「検索ヒューリスティック」(search heuristics)の概念でその文言が用いられたりしたのである。しかし、'70年代に入って「ヒューリスティック」は否定的な意味で用いられるようになる。人間が如何に誤謬を犯すかとか偏見について、経済学や法律学で論じられるようになったのである。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 2. 
ヒューリスティックスに対しては二つ(当ウエブ作者注:下段参照)の見方がある。一つは、問題への解決法であると捉える。二つ目は、それ自身が問題であると捉える見方である。 See Gigerenzer, Heuristics, infra, at 17-18.  / ヒューリスティックスの科学の起源は、ノーベル賞受賞者のHerbert SimonとReinhard Seltenに起源を有する。Id. at 24.
@ the "fast and frugal heuristics"
A the "heuristics-and-biases"
See Chris Guthrie, Law, Information, and Choice: Capitalizing on Heuristic Habits of Though, in HEURISTICS AND THE LAW 425 (Gerd Gigerenzer & Christoph Engel ed. 2006).
ヒューリスティックへの法律学からの批判: ヒューリスティックスは統計学がサンプリング上の要素しか注目しない為に犯す誤謬と同様に、必要な情報を評価し損なう点に於いて良くないと法律学者は批判する。統計学上のこのような問題の典型例は、医学に於ける「broken-leg cure」(骨折治療)の問題と言われている。喉に問題を抱える患者が医師に診てもらう際に、その患者が同日に骨折した事実に統計学者は気が付かないけれども、医師は骨折の事実を重要な情報として考慮しなければならないのである。統計学にはそのような見落としがあり得るのと同様に、ヒューリスティックスも必要な情報を考慮に入れ損ねる点が問題視される。 --- しかし、不確実な情報しか利用可能ではない現実世界に於いて、良い判断というものは常に利用可能な情報の中のどれかを無視[選択]することで為されるのである。従って本当に重要な技能は、正しい情報の取捨選択にある。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 13 (emphasis added).

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Case-Based Decision Theory [事例依存型決定の理論]

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 401.

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Representativeness 代表性 / Representative Heuristics 

現象と、そのあり得そうな原因との間の表面的な近似性(superficial likelinesses)に、人々は強く影響されるものです。「Gambler's fallacy」(ギャンブラーの誤謬)は、結果がその原因を「代表している」("represent")と誤って認識してしまう例示です。
See ラティン, "良き警告," infra, at 1230-31.
なお、代表性ヒューリスティックスによる誤謬の原因として、「law of small numbers」(少数の法則)の項を参照。
人は不確実な選択に直面すると、知っている以前のパターンを最も代表する選択肢を選択しがちになる。以前の少ない代表的な出来事に対して不当に関連性を強く結び付けてしまうことから、将来の出来事の発生蓋然性の評価を誤ってしまうのである。過去の出来事が真に将来の出来事を代表していれば誤謬は生じない。しかし、表見的には目の前のシナリオに過去の事象が近似しているように見えているけれども、本当は代表していない場合には、それは単なる偶然の出来事に過ぎず、そのような場合に代表性ヒューリスティックは誤った予測に繋がる。 
モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 23.
See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 364-67.
カーネマンとトゥベルスキー(Kahneman, D. & Tversky, A. ...)は確率的事象の認識において、人間は代表性(representativeness)にもとづく判断をしているという主張をしている。 …。 コイン投げの賭博で…『裏』が5回も続いたから次は『表』がくるぞと考えてしまう…ギャンブラーの誤信(gambler's fallacy)… こうした判断は母集団…をよく代表していること、もっともらしくありそうなことに依拠しているのである。
吉田敦也、他, infra, at 77 (emphasis added).  なお「ギャンブラーの誤信」は、『SCIENCE』誌掲載のトヴァースキー とカーネマンの共著論文でも言及されています。 See トヴァースキー & カーネマン, 「不確実性における判断」, infra, at 1125.
代表性ヒューリスティックも最も有名な例は、リンダという名前のキャリア女性に関する質問結果事例です。彼女は31歳で独身、物言うタイプで、とても聡明。哲学を専攻していた学生時代には、差別問題と社会正義に関心を抱き、反核デモに参加したこともあります。…。 [以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 364-65参照。]
See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 364-65.
オーガニック・フードへの多大な人気は、「自然」という言葉と「ヘルシー」という言葉の間に関係性を思い描くことから来る代表性ヒューリスティックが原因…[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 365参照]。
蓋然性の判断は多くの場合、AがBを引き起こすか?の判断です。たとえば、使い捨ておしめ(A)が公害(B)を引き起こすか?等の様に[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 365参照]。
たとえば、高圧電線の下の家では子供が癌になるおそれが高いからその家は購入すべきではないか否かの判断…[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 365参照]。
発生蓋然性の低い危険(low-probability hazards)も、危険な諸活動のプロトタイプ(the prototype of dangerous activities)にフィットしてしまうと、危険発生蓋然性の過大予測(overestimate)につながります[平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 365-66参照]。

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inverse fallacy (逆転錯誤)

See 平野  『アメリカ不法行為法, infra, at 366-67;  補追, at 58-62.
稀にしか発生しない事故の発生は、過失が原因であったと短絡的に誤ること。そもそも『リステイトメンント(第二次)不法行為法』上のレス・イプサ・ロキタの規定も誤導的である。稀にしか発生しない事故の発生と、その原因が過失であったか否かとは、別問題だからである。100回に3回しか発生しない事故が発生しても、その3回の内、過失が原因である確率が1回(1/3=33.33%)に過ぎなければ、過失が原因であるよりも過失以外の原因で発生した蓋然性の方が高いのである。しかし人は、稀にしか発生しない事故の発生は、「通常ではない原因=過失」に拠るに違いないと、誤って短絡的な判断を下すのである。
稀にしか発生しないような事故の原因は、発生自体が稀なのに、その稀さに加えて更に「通常ではない原因(i.e., 稀な原因)=過失」によって生じたと推論する方がむしろおかしい。稀な事故発生は、更に稀な原因が基になった蓋然性よりはむしろ、「通常の原因=過失無し」が原因であったと推論する方が、通常は正しいのである。(A rare event (such as the accident in [the famous Byrune-v.-Boadle type] res ipsa loquitur problem) is more likely to be the extraordinary product of a common cause (non-negligence) than the ordinary product of an extroardinary cause (negligence). Rare events should not be attributed to extroardinary causes without powerful evidence.)
Guthrie, Rachlinski & Wistrich, Inside the Judicial Mind, infra, at 824.

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Availability 入手容易(利用可能)性 / Availability Heuristic (入手容易/利用可能性ヒューリスティック、情報の入手し易さの簡便法)

カーネマンとトヴァースキーら自身の言い方によれば、以下のような事象を入手可能性と呼んでいます。
There are situations in which people assess the frequency of a class or the probability of an event by the ease with which instances or occurrences can be brought to mind.
トヴァースキー & カーネマン, 「不確実性における判断」infra, at 1127. 更に続けてカーネマンとトヴァースキー以下のようにその例を示しています。
たとえば、中年人口における心臓発作の危険性を、…[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 362.参照] 
自殺によって死ぬ方が他殺で殺されるよりも多いか否かを人に尋ねた場合、…[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 362-63.参照]
原子力に対する多くの懸念が、ヒロシマやチェルノブイリやスリーマイル島…[以下、平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 363.参照

___________________.

悲惨な事故や災難は、認知的に長期の間、[人々の認知の中に]"available"に残るので、人々はそのような出来事の再発の蓋然性を過大予測(overestimate)しがちです。 発生蓋然性の低い危険(low-probability hazards)も、危険な諸活動のプロトタイプ(the prototype of dangerous activities)にフィットしてしまうと、危険発生蓋然性の過大予測(overestimate)につながります。   大災害(disaster)が発生すると、人々はあと知恵(hindsight)で、専門家ならば予見できたはずだ、管理できたはずだと専門家を非難しがちです。 心理学者は、蓋然性の低い出来事に対して人々が過剰反応し過ぎであると再三指摘してきたのです。 
See ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 254 & n.135 (Paul Slovic, et al., Facts Versus Fears: Understanding Perceived Risk, in Judgment Under Uncertainty: Heuristics and Biases 463, 465-72 (Daniel Kahneman, et al. eds, 1982)を引用しながら).
もっとも、逆に、事故を引き起こした状況に対して何らかのコントロールを支配している場合には、人々は自信過剰(後掲「Self-Serving Bias, Unrealistic Optimism, and Over-Confidence」参照)になり危険を過少評価または無視しがちです。  更に人々は、自発的に危険に身をさらす際には危険性がないものと信じ込む傾向が知られています。 
See ヘンダーソン & ラクリンスキー, infra, at 254 & n.139 (Jeffrey J. Rachlinski,, The Wages of Risks, 6 CORNELL J.L. & PUB. POL'Y 673, 691-92 (1997)を引用しながら).
人による危険性の認識はいつも正しい訳ではありません。 過小評価しがちだというのが基準という訳でもありません。実際、とても小さな危険性に対してまでも、過大評価してしまうという一環したパターンがあるのですから。
See Viscusi, Hazard Warnings, infra, at 671.
「最近の出来事の方が、昔の出来事よりも、比較的より入手容易でありがちです。
トヴァースキー & カーネマン, 「不確実性における判断」infra, at 1127 (訳は評者).

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"Availability Cascade" / "Informative Cascede"(カスケード:次々と接続すること) "Overwhelming Informative" conditins on individual's perceptions

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 389-92.
情報カスケードinformational cascade)とは、see 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 389-90
評判カスケードreputational cascade)とは、see 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 390
入手容易性ヒューリスティックスと代表性ヒューリスティックスに関するカーネマンとトヴァースキーの研究結果を用いれば、マスコミが個別的出来事を強調するあまり、広範囲なトレンドや一般的な社会現象の分析を怠ってしまうために、vividだけれども比較的に稀な出来事やイメージの恐怖を、理不尽なまでに人々に引きお越し得るという問題が、明らかになります。 法と行動理論の研究は、既にこのような現代マスコミによる有害な影響について、「availability cascades」とか、個人の危険意識に関しての「overwhelming informative」条件等として、扱って来ています。
See ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 925-26 & n.153, 936-37 & n.216, 937 & n.218.

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Moral Heuristics 倫理的ヒューリスティック

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 392-96.

【抑止効果を無視した責任】

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 392-93.

裏切り

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 393-94.
評者コメント: そう言えば、製造物責任法発展史に於いて、無過失責任を肯定する諸理論の一つに、消費者への信頼を裏切ったという「信頼責任」が挙げられていたことを思い出させます。 -- すなわち、無過失責任が肯定される理由の一つに、「裏切り」=非難という関係性があるような気が評者には思われますが、如何でしょうか。】

【自然を勝手に改竄する】

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 394-95.

【危険効用分析】

平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 395-96.
【評者注:このような、危険効用分析を嫌悪して不合理な判断を下しがちな問題については、「フォード・ピント事件の真相」のページを参照下さい。】

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Recognition Heuristics [見覚え意思決定(再認ヒューリスティック)] / Flucency Heuristics [流暢さヒューリスティック]

名称に見覚えがあることだけで人々はしばしば判断を下してしまうことがある。たとえば聞き覚えのあるテニス・プレイヤーは聞いたことの無いプレイヤーに勝つと思ってしまったり、聞き覚えのある大学はそうではない大学よりも良いと判断してしまうような場合である。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 8.
less is more effect: 知識の少ない者の方がより正しい判断を下せる場合の意である。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 8 (D.G. Goldstein & G. Gigerenzer, Models of Ecological Rtionality: The Recognition Heuristics, 109 PSHYCHO. REV. 75 (2002)を出典表示しながら指摘).  最も知識の少ない陪審員に従った場合に陪審が最良の判断を下す場合を特定した研究も存在する。Id (T. Reimer & K. Katsikopoulos, The Use of Recognition in Group Decision-Making, 28 COG. SCI. 1009 (2004)).

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Hindsight Bias あと知恵の偏見

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 370-74.
「あと知恵の偏見」は、「投錨」効果であると捉えることが可能。Id. at 371 accompanying note 86.  See also 友野『行動経済学』infra, at 73.

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Outcome Bias (結果的偏見)

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at -370 n.76.
不法行為の分野が特に興味を抱く「あと知恵の偏見」は、「outcome bias」と密接な関連性を有している。「悪い結果」(bad result)を観察者が知っている場合には、これを予測できたはずだと捉えてしまうからである。 / 結果を知っている場合には、その知識を除くことが困難になるからである。その結果、小さな危険(small risk)であっても、過大評価される。これは裁判官の判断にさえも影響を与える。そして「偏見除去」の努力([d]ebiasing efforts)も、余り効を奏さない。不法行為訴訟に於ける陪審員も、πが害を被ったという事実(=悪い結果)を知っているから、「あと知恵の偏見」と「結果的偏見」の双方が働いてしまうのである。
モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 23-25.

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Scenarios シナリオ

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 401.

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スロヴィックによる危険性過剰・不十分認識の研究

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 398-400.
カーネマン&トヴァースキーと共同編集も行っている心理学・認知科学者スロヴィック(Slovic)は、人が危険性というものを、頻度(frequency)とは別の視点で認識している、すなわち専門家による危険性の分析とは異なり、人はqaulitativeな点を見ている、と主張。 たとえば、原子力発電所に対してや、非自発的な諸活動、管理不能な諸活動、致命的あるいは重症を生じる諸活動に対しては、人はより大きな危険性を感じると指摘しています。 更に、j効用がほとんど無い諸活動よりも、効用も危険性も伴にある諸活動の方がより危険性をすくなく感じるとも指摘しています。 /  危険性の認識の中には強い主観的な要素があり、だからこそ、プールで水死する方が原発事故で死ぬよりも頻度が高いにもかかわらず、人は、後者に対してより高い危険性を感じてしまう、それは民主主義社会に於ける個人の価値判断の現れ(represent the individualized value judgements)である、と指摘しています。  すなわち、
「危険は、私達の心と文化から独立した『外側』に計量され得るものとしては、存在しないのです」
と(訳は評者)。
See ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 937- 39 & n.233 (Paul Solvic, Trust, Emotion, Sex, Politics and Science, in THE PERCEPTION OF RISK, 390, 392-93 (Paul Solvic ed., 2000)を出典表示しながら).
主観性を強調するスロヴィックに対し、危険性認識の客観性を重んじるサンスティーンは批判的ですが、両者の主な違いは、専門家による危険性評価をどれだけ尊重するかに於ける程度の差異にあると思われます。
See ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 940.
「入手容易性ヒューリスティック」と「代表性ヒューリスティック」の影響により、人は、蓋然性の低いリスクを過剰評価し、逆に、高蓋然性の出来事を不十分にしか評価しないというシステマチックな傾向があることを、スロヴィックは明らかにしました。
See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1187 (Paul Solvic et al., Facts versus Fears: Understanding Percieived Risks, in JUDGMENT UNDER UNCERTAINTY: HEURISTICS AND BIASES 464 (Danie Kahneman et al. eds., 1982)を出典表示しながら).

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Anchoring / Anchoring & Adjustment 投錨と調整

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 367-70.
異なる出発点は異なる予測を生み、その予測は最初の価値に向けた偏向がある」
See ラティン, "良き警告," infra, at 1237 & n.191 (訳は評者)(Amos Tversky & Daniel Kahneman, Rational Choice and the Framing of Decisions, in RATIONAL CHOICE: THE CONTRAST BETWEEN ECONOMICS AND psychology 14 (Robin M. Hogarth & Melvin W. Reder eds., 1987).を出典表示しながら).
陪審員は自分達と同様な人々に対してより寛容になると指摘されています。従って、陪審員に対して説得力のある主張をするためには、陪審員にも身近に感じられる、より個人的な経験等を示すことで、それが強力な投錨あるいは参照点(a powerful anchor or reference point)になる武器であるとさえ指摘されています。
See Hans & Dee, infra, at 1116.
投錨による偏見は強いもの故に、なかなか除去し難いと言われています。 /  判事でさえも求刑が投錨による偏見を受けると、イングリッチ達に指摘されています。  友野『行動経済学』infra, at 85, 87.

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Attribution Error [責任]帰属錯誤、帰属の誤り、帰属エラー

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 401-02.

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Decision Utility 対 Experience Utility

決定を下す時点に於ける期待された効用と、決定を下した結果として実際に生じる効用との間には、差異があります。すなわち[将来の]経験に対する決定時の評価を、人々は誤りがちです。
たとえば、青少年が喫煙をする際に、害を知りつつも将来は禁煙するであろうと思って喫煙してしまうけれども、実際にその予想通りに禁煙できる確率は少ないという結果になっています。この結果は、危険を承知で喫煙する者に対して更なる規制は不要であるという論者には痛手です。
つまり人々が将来の結果を正確に予想できないという認知上の欠点を理解すれば、パターナリスティックな規制への反対論が説得力を欠くことになります。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1184-86.

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Loss Aversion 損失回避

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 355-56.
経済学理論に於いては、人は、実際の出費(out-of-pocket costs)と機会コスト(opportunity costs)とを同価値(equivalent)に置きますけれども、実際の人間は、損失[=実際の出費]の方をはるかに(約二倍程度?)嫌います。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1177.
評者コメント: 「大衆の危険意識」の研究の中の「WTP < WTA」の項に於いて説明するように、人がそもそも権限を有するものを手放す際に求める対価(Willingness To Accept)の方を、権限を持たないものを新たに入手するために要する対価(Willingness To Pay)よりも高額に評価しがちな理由の一つとして、opportunity costsへのウエイトを低く置くという指摘が用いられます。
なおloss aversionは、予測理論prospect theory)(前掲)の一局面です。
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Reference Point[s] 参照点依存性

予測理論」を法律問題に適用する際に、人はその参照点(reference points)をどこに置くかによって判断が異なるという性向を、理解しておく必要がると言われています。
すなわち、「一定の所得は、人の収入が最近減ったか、あるいは、増えたのか次第で、贅沢だとも、不十分だとも感じられ得るのだ。
See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1159 (Daniel Kahneman & Amos Tevrsky, The psychology of Preference, 246 SCI. AM. 160, 168 (1982)を引用しながら)(訳は評者).
政策を、人々がlossと感じれば「受け」ないけれども、同じ内容をgainと感じるように言えば(framingの問題)同意を得られ易くなります。  たとえば、前掲「framing」の中の、環境改善提言の例のように(すなわち、過去のX日の水質に「戻す」という政策提言ではあまりgainを感じてもらえないけれども、現在のY日の水質よりも「向上させる」という提言はgainだと感じてもらえて賛同が得られ易くなるという訳です)。  すなわち、どの「時点」を「基準時」とするか次第で、人々の反応が異なるという訳です。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1180.
同じ結果を、「損失」であるとフレイジング(phraising)するのではなく、あたかも「取得」であるとフレイジングすることで、人が異なる選択をしてしまうような事象が、「フレイミング効果」(framing effect)です。
See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 11801119 n.29.

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Status Quo Bias [現状執着性向] / Ommission Bias [不作為性向]

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 385-89.
臓器移植の同意の仕方について、反対の意思表示をしない限り同意を推定する「推定同意」(presumed consentをデフォールト値とするフランス、オーストリア、およびハンガリーに於いては、移植同意率が高い現状を変更しないことが多くの人間のヒューリスティックであり、既存の法制度が通常は意味を有していて政策立案者によって推奨されていると捉えて信じてしまう多くの人々の意識を反映しているのである。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 6.
[契約法に於ける]任意規定、すなわちディフォールト値の法的規範("default" legal rule)には、実際の効用以上に大きなウエートが置かれ得るので、法的権原の配分に実質的な影響を及ぼし得る。  Korobkin, The Problems with Heuristics for Law, infra, at 51.

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Extreme Aversion

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 403.
人々は極端を嫌います。 メニューの中で最も高額な品よりも下の品を選択する経験があるはずです。
そこで、たとえば小型ラジオAと中型ラジオBの内どちらを選ぶかと問われれば、多くの人々はAを選びます。しかしここに三番目の選択肢として大型ラジオCを入れれば、多くの人々はBを選択しがちです。すなわち、選ばれることのないCを挿入することで、人々をBへ仕向けることが可能です。
裁判官や陪審員も、妥協を探す局面に於いて、その妥協とは選択肢の在り方如何で左右されることになるので、上記の認知的反応は弁護士の効果的な主張の仕方にも関わって来ます。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1181-82.

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Self-Serving Bias, Unrealistic Optimism, and Over-Confidence 自己奉仕偏見、非現実的楽観主義、自信過剰

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 375-76.
たとえば、圧倒的に多くの人々は、他人よりも自分の方が交通事故に遭わないと思い込みます。90%のドライバーは標準よりも技能が上だと思っています。同様に、他人よりも自分はAIDSにも罹患しないし、心臓病にも罹らないし、その他の健康悪化にならないと思い込みます。
employment-at-willで雇用されている人も法的に保護されていると多くが誤解しているという研究成果も、楽観的過ぎる認知に整合します。 [評者注: すなわち、大衆の法意識にも楽観的性向が影響しているかもしれませんね。]
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1182-84.
自身過剰は、taskがどれだか困難か容易かを評価する能力が評価者に欠けている場合に生じるように思われます。
See ラティン, "良き警告," infra, at 1243 & n. 219.

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Confirmation Bias

 

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motivated reasoning

motivated reasoningは、self serving inferenceやwishful thinkingとして形成され、底に横たわる望みが決定を支配すると迄は言わなくとも影響を与えるのです。motivated reasoningの主な特徴は、望ましい結果への偏見です
Langevoort, Selling Hope, Selling Risk, infra, at 641 & n.44.

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Selective Fatalism

自己奉仕的偏見により、人は、自発的に引き受けた諸活動に伴う危険性(risks assosiated with activities voluntarily undetaken)は受容するけれども、非自発的な危険性に対しては過剰反応するという分析もあります。
たとえば、スキーや喫煙に伴う大きな危険性は受忍するけれども、有害廃棄物施設や原子力発電所の近くに住むといった小さな危険性に対しては過剰反応するという具合にです。
See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1188-89.

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Affect Heuristic 感情・愛情・情緒ヒューリスティック

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 397.
人は、好きだったり受け入れる諸活動については、否定的な見方をする諸活動よりも、危険が少ないものと捉えがちです。 すなわちどれだけ好きかの程度次第で、発生蓋然性判断が左右されてしまうという訳です。
See ヤブロン, 「蓋然性評価の意味」, infra, at 947 (Melissa L. Finucane et al., The Affect Heuristic in Judgments of Risks and Benefits, in THE PERCEPTION OF RISK 415 (Paul Solvic ed., 2000)を出典表示しながら).
背景的なムード(background mood)も人の判断に影響を与えます。たとえば、株価は晴れの日に相当高くなるという特筆すべき事実は、affectの概念抜きには説明が付かない話です。
See サンスティーン, 「倫理ヒューリスティック」, infra, at 1565.
人々はloss averse (損失回避的)なので、現状status quoからの損失発生は現状からの便益発生よりも更に望ましくないものと捉えがちです。その結果、新規に持ち込まれた危険性は、それに伴う便益(現状よりも利得)がたとえ非常に大きなものであったとしても、大きな問題があると見られてしまうのです。だから新規の危険性に対してはその危険面ばかりに焦点を当ててしまい、付帯する便益面には焦点を当てないのです。そして問題なのは、危険性だけが認識され便益面が認識されない多くの場合、実際の危険の度合いはとても低かったりするのです。 そこにおいて費用対便益分析を導入すれば、様々な要素が認識上に浮かび上がって来ますから、この[効用面が認識されず隠れてしまうという]問題を矯正することが可能です。
See サンスティーン, 「認知と費用便益分析」, infra, at 1068.
上の指摘は、評者には、たとえば「ケータイはケシカラン論」や、行き過ぎた製造物責任の主張にも当てはまるような気がします。すなわち、機器(たとえばケータイ)や製造物の効用面を認知的誤謬により忘れてしまって、負の面ばかりを過大評価すると、機器や製造物への規制・責任強化論につながる場合もあるのではないか、と思料されます。

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Cognitive Disssonance [Theory]  認知的不協和[理論]

人々は、自らの信念や行動に反する情報を拒絶したり過少[評価]したりします。
See ラティン, "良き警告," infra, at 1234.

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De-biasing Techniques 偏見除去技能

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 404-05.

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Fairness & Cooperation

経済学では人々が利己的に行動すると前提していますが、実際には人々は周囲から公正に観られたいがために自己の利益を犠牲にする行動を採る場合もあります。 特に利己的な振る舞いが公の規範を破るような場合(if the norm-violations would be public)には自制する傾向があります。
従って契約交渉の文脈に於いて、一方当事者は相手方のmisfortuneをtake advantageするような行為を遠慮しがちである、なぜならば社会的な自制心が働くからである、とも言えます。
更に、周囲の目によって自制心がはたらくことから、単に法の要請を表明することだけでも、reputational sanctionが課されることを通じてprivate enforcementが可能になるという行動の変化(bahabioral shifts)も期待し得ます。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」 infra, at 1186-87.
評者コメント: かつて、オリンピックの柔道の重量級の決勝戦に於いて、日本の代表選手が怪我をしていた部位=弱点を、対戦相手がわざと責めずに紳士的に戦った結果、日本の金メダルに結局は至った、という事例を評者は思い出しましたが、如何でしょうか。】

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Myopic [近視眼的]

将来生じることになる損失を正しく評価できず、人々は近視眼的(myopic)になりがちです。
従って、法的な検討文脈では、人々がたとえ情報を正しく付与されていても将来の結果に向けて最適な行動(optimal behavior)を採るとは限りませんから、パターナリズム的な規制が肯定されることになり得ます。
See サンスティーン, 「法の行動的分析」, infra, at 1194-95.

First Up-loaded on Aug. 2005.

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スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事件の教訓

競争上の強い重圧、予算の限界、およびプロジェクトの締切期日等といったNASAという機関の環境が、個人の判断に影響を与え[て事故に繋がっ]た、と指摘されている。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 27.

Willingness To Pay < Willingness To Accept (WTP<WTA)

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 439-53.
人は他人から買う場合の値付よりも、自分の所有物を売る場合の値付を高額にする傾向にありがちだといわれる問題のことです。 

予測理論」や「所有効果prospect theory」、「(仮)取引クロージング選好closing transactions」、「(仮)価値(選好)不確実性value (preference) uncertainty」、「(仮)後悔理論regret theory)」、および、「(仮)適応効用理論(adaptive utility theory)」、等が用いられます。

 「大衆の危険意識」の研究の頁の中の「「WTP」(Willingness To Pay) < 「WTA」(Willingness To Accept)」の項も参照下さい。

See Hofman & Spitzer, infra, at 87-89.

法律学上の適用例 (各論)

陪審員の偏見・誤謬

「法と行動科学(認知心理学)」の実証研究の結果、下段のように陪審員の偏見が科学的に明らかに成って来た為に、以下のような様々な改善策が提案されています。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 31. 

危険効用分析が陪審員には出来ず、かつ、危険を過大評価するために高額過ぎる代替案採用を強要される問題

小さな危険でさえも予見可能であったと陪審は偏見で評価する為に、不法行為に該当しない凾フ行為も過失責任を課され得ます。陪審は実質的に厳格(無過失)責任を課すことに。通常過失に対しても懲罰賠償を課すことになります。賠償額も事実からは正当化され得ない高額なものになるのです。更に陪審は、過失責任法に於いて必要な、客観的に正しい危険・費用・効用のトレードオフを量ることができません。危険と安全利益を過大評価し過ぎるので、余りにも費用が掛かり過ぎる代替案でさえも採用することが強要されるのです。
このような陪審員の偏見は、司法制度が公正で、中立的で、かつ客観的であるという前提に反しています

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 28-29.

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特に懲罰賠償が絡む製造物責任訴訟に於いて、陪審員は偏見により「報復者」として振る舞う為に、最適な抑止を実現できない問題

陪審員の偏見に対する影響に関する実証実験の結果、特に懲罰賠償が関わる製造物責任訴訟に於いては、陪審がしばしば「報復者」(retributionist)として振る舞う為に、最適な抑止効果のある賠償金認定にならないと、研究者達が懸念しています。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 31.  See also 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 392-93 (倫理ヒューリスティックによる上の問題分析を紹介). 

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最も知識の少ない陪審員に従った陪審がより良い判断を下す場合(「Recognition Heuristics」の再掲)

最も知識の少ない陪審員に従った場合に陪審が最良の判断を下す場合を特定した研究も存在する。See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 8 (T. Reimer & K. Katsikopoulos, The Use of Recognition in Group Decision-Making, 28 COG. SCI. 1009 (2004)).

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裁判官の偏見・誤謬

陪審のみならず裁判官も、偏見にさ左右されると研究者達によって指摘されています。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 32.

人は多過ぎる諸要素の衡量に基づく決定を下すことが難しいので、衡量要素を極端に少なくして決定を下しがちです。裁判官が保釈を決める際の衡量要素は、唯一、検察官のrecommendationのみなのです。

See, e.g., Hillman & Rachilinski, Standard-Form Contracting, infra, at 452, n.124

なお、裁判官が求刑に於いて投錨の偏見に左右されるという指摘については、前掲「Anchoring & Adjustment投錨と調整」内の、友野『行動経済学』infra, at 87を参照。

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予見可能性に関する事実審の誤謬を認めた代表判例

陪審が予見可能性を過大評価した誤りを示す上級審判例として、モントゴメリーは、Benjamin Cardozo判事によるものも含む以下を例示しています。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 43-45.

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パターナリスティックな政府規制の正当化

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 326-30.
パターナリズムが支持される理由の一つは、普通の人々が犯す論理的誤謬に基づいている。 See Gigerenzer, Heuristics, infra, at 22, n.3.

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裁判所ではなく専門官庁の規制に判断を委ねるべき

裁判所は、認知的な誤りによって危険性に対し過剰に規制する傾向が生じたり、費用対効用分析を否定するような誤りさえもおかすので、誤謬を矯正するために、専門の行政官庁(expert agencies)による規制に優越権限を付与すべきだという主張もあります。
更に、裁判は全てあと知恵により[被告の正否を]判断するために、非難・過誤(fault)と責任を[被告に]帰属させしめ過ぎることになるので、裁判所は諸機関が発展させて来た基準や慣習をもっと尊重すべきである、と主張する学者達も出て来ています。
そして、認知的な誤りをおかすのは陪審員だけでなく、裁判官も、鑑定証人さえも逃れられないと指摘されています。(前掲「裁判官の偏見」参照。)

See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1196-97, 1200, 1202 & n. 173 (Viscusi, Corporate Risk Analysis, infra等を出典表示しながら).

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立法も入手容易性ヒューリスティックによって規制過剰

立法府は最近のvividな危険な出来事・事例に引きずられる傾向があり、それには入手容易性ヒューリスティックが原因であるという分析があります。   従って最近のvividな危険な出来事・事例については規制過剰な立法になるおそれが批判されています。  たとえば、Megan法の成立は、[悲惨なMeganちゃん殺害事件という]入手容易性ヒューリスティックによるという指摘もあります

See ラクリンスキー, 「パターナリズム」, infra, at 1204 & n.217 (Daniel M. Filler, Making the Case for Megan's Law: A Study in Legislative Rhetoric, 76 IND. L. J. 315, 347 (2001)を出典表示しながら).

___________________.

[制定]法は科学的証拠や理性(reason)によって成立するとは限らず、大衆の不安やロビーイズムや過った情報によって焚き付けられた感情的風潮(an emotional climate fueled by...)によって成立し得ることを、事例研究が例示している。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 12.

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費用対便益分析を用いることにより、大衆が危険性の度合いを誤って認識し、それに引き摺(ず)られて官庁が客観的には危険性の低い部分が高額な防止策費用を費やす愚を回避すべき

費用対便益分析(cost-benefit analysis)には、大衆が要求する法規制をtechnocratic(専門技術的)な精査に服さしめて、それにより大衆の要求が単なる神話(myth)に基づくものではないことを確かなものにすると伴に、逆に大衆による法規制の要求が低い(何故ならば不十分にしか知られていないゆえの)分野に於いてはその危険性を法規制することも確かなものにするという、効果があるのです。

See サンスティーン, 「認知と費用便益分析」, infra, at 1067.

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法は複雑であるよりもシンプルな方が人々の行動に影響を与え得る

人々は法の規定内容(the text of the law)に対して曖昧な知識しか有していないのだから、法に従った人々の行動を期待することは難しい。仮に法がシンプルであれば、その方が法は人々の行動に影響を与え得る。たとえば「十戒」は、人間の記憶力の限界を尊重した戒律と言える。 See Engel & Gigerenzer, Law and Heuristics, infra, at 12.

以上の指摘から、私見では、たとえば不法行為法に於ける過失基準の「B<PL」は、複雑に諸要素を考量する「Eckert」判例+Terry論文に基づく危険効用基準よりも、より受容されて来た原因が、そのシンプルさにあったと言えるのではないでしょうか?

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偏見・誤謬が生じ易い不法行為訴訟の類型

以下の場合に「法と行動科学(認知心理学)」的な偏見が生じ易いと、モントゴメリーは分析しています。

  1. 危険(riski.e.,発生蓋然性)が小〜中程度(small to moderate)に過ぎない事件。
  2. πの重大な過誤が寄与していない事件。
  3. 慣行や制定法違反が存在しない事件。
  4. 代替案(alternative conduct)が少ない費用(minimal cost)で可能な事件。
  5. 損害が甚大(significant harm)な事件。
上記2.については、「悪い結果」や「重篤な傷害」が生じているのは凾ノよる瑕疵ある判断(a flawed decision)の所為(せい)に違いないという誤謬を生み、凾フ過誤を常に過大評価することに繋がる。
上記1、4&5.については、小〜中程度に過ぎない危険が重篤な損害に繋がって、かつ、より安全な代替案の費用が高額ではなかった場合は、本来は危険/費用/効用の衡量が必要になるはずだけれども、主観的な諸要素の偏見が最も影響を与えてしまう場合でもある
上記3.については、慣行や制定法違反であれば即過失的な認定に繋がる為に誤謬が余り入り込めない。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 37, 41, 43.

上の指摘は、「ホット・コーヒー火傷訴訟」のπに多額の賠償認定を許してしまった「Liebeck v. McDonald's」事件の原因を解明する上で非常に有用ではないでしょうか?(「コーヒー訴訟」の頁参照。) 

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過失基準 (不法行為法)

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 101-03.
アメリカ不法行為法に於ける過失責任の有無は、いわゆる「理に適った人の基準」(a reasonable-person standard)が適用されて判断されます。それは、理想的な「理に適った人」の基準を、現実世界に於ける「理想的ではない人」(nonidealized individuals)に当てはめるものなので、ときにして「厳格責任」に相当してしまうという指摘があります。実社会に於ける理想的ではない人に対して、「理に適った人の基準」を押し付けて責任を課してしまうことには、公正さに於いて疑問があるばかりか、安全ではない行為を抑止する上での効率性という点でも疑問があると批判されているのです。

See Guthrie, 「予測理論」, infra, at 1128 & nn.88-89 (Steven P. Croley, Vicarious Liability in Tort: On the Sources and Limits of Employee Responsonableness, 69 S. CAL. L. REV. 1705, 1728, 1738を出典表示しながら).

慣行を過失基準にして誤った過失責任判断を回避する

専門家責任(professional malpractice cases)の場合には、慣行を注意義務基準として活用することにより、複雑な専門家の判断が含まれるリーズナブルな注意義務を決する際に事実認定者が直面する困難さを回避させることに資する。

モントゴメリー, 「不法行為訴訟に於ける認知的偏見とヒューリスティック」, infra, at 41.

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エンタープライズ責任(EL)の是非

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 405-08.

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警告表示義務の射程

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 433.
Latinは、以下の論文に於いて、人には認知科学・行動主義的分析上、警告を見落としたり従わないという欠点のあることが明らかであるから、企業側でそのような落ち度ある人に危険が生じないような設計をする義務がある云々という主張を展開しています。
ラティン, "良き警告," infra.
このLatinの主張を批判するハーヴァード大学のViscusiは反論しています。
See Viscusi, Hazard Warnings, infra, at 631 n.8.
如何に警告表示をしたところでその警告に従わない消費者が必ず一定数存在するという事実を、警告政策の失敗(a failure of the warnings policy)だとは必ずしも捉えるべきではありません。 これは、完全に効果的な警告(fully effective warnings)という[ものが仮に実現できたと仮定した]世界に於いてさえも存在し得る現象であって、[消費者]個人の意思決定というものに不可避な果てしの無い性格=iopen-ended nature of decision making)ゆえの結果なのですから。
人がおかす意思決定上の誤りは、何も製品選択に於いてばかり生じるものではありません。人生の中で、たとえば、職業の選択や、学校や宗教や配偶者の選択等のような重要な意思決定に於いても、人は判断上の誤りをおかします。このような製品危険とは無関係なリスクも社会的損失を生じるものです。しかし、裁判所はそのような失敗に於いてサンクションは課しません。政府もそのような選択上の誤りに対して規制を課しません。[それなのに何故、製品上の警告にだけ人が誤謬をおかした責任を企業に課すことが正当化されるのでしょうか?いや、されるべきではありません。]
See Viscusi, Hazard Warnings, infra, at 635-36.

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弁護士による人心操作的レトリック

高額な賠償金を認定させるための「フレイミング」を用いた話法

既に紹介した「フレイミング」手法を、陪審員へのπ弁護士による話法で用いれば、賠償金を高額化へ導けるという指摘があります。

(A) 原告を事故発生前と同じ状態にするには、幾らのお金が必要でしょうか?
(B) この傷害を原告に受け入れてもらう気にさせるためには、幾らのお金を原告に対し提供しなければならないでしょうか?

See 平野 『アメリカ不法行為法』, infra, at 388.

おそらく、質問の仕方により下線部に焦点が当たって、そのイメージが人々の判断を左右すると思われます。

陪審員の情へ訴える

人の行動は、合理的か、感情的か、またはその双方のコンビネーションであることが多いのです。訴訟弁護士は、しばしば、陪審員を揺り動かす為に感情的な描写に依拠(rely on painting emotional pictures when attempting to sway juries)します。

ジャコビー、「消費者が合理的であると推定するのは合理的か? , infra, at 105-06.

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「法と認知科学」「法と人間行動分析」等の研究分野に於ける代表的な研究者(例)

Daniel Kahneman & Amos Tevrsky

Paul Slovic

L.Jonathan Cohen

Cass R. Sunstein (シカゴ大学ロースクール兼政治科学部)

Jeffrey J. Rachlinski (コーネル大学ロースクール)

Christine Jolls (_____________大学)

 

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出典・参考文献

以下の論文、著書が参考になります。

First Up-loaded on Aug. 2005.

 

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【未校閲版】without proof

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