法と経済学」補講(2011年度・Year 8) 

Law & Economics

中央大学教授(総合政策学部)、博士(中央大学・総合政策)、米国弁護士(NY州)
平野 晋

"Never in the field of human conflicts was so much owed by so many to so few.".

人間の争いの中で、かくも少なき人々に、かくも多くの人々が恩恵を受けた例(ためし)は無い。

バトル・オブ・ブリテン」(*)に勝利したチャーチル首相の名演説

(*) 「The Battle of Britain」: 第二次大戦中の対独防空戦。1940年5月〜10月。

法律学も経済学も「偽善」である。
両者共に、「人の為に善い」規範や活動を求める。
そして「偽善」とは、「人の為に善い」と綴るのである…?!

平野 晋

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"An economist is an expert who will know tomorrow why the things he predicted yesterday did not happen today."

経済学者とは、昨日予見したことが何故今日起きなかったかを明日知る専門家である。

Jacob Jacoby, Is It Rational to Assume Consumer Rationality? Some Consumer Psychological Perspectives on Rational Choice Theory, 6 ROGER WILLIAMS U. L. REV. 81, 151 n.192 (2000). *****************************************************************************************************************************

関連ページは、「現代不法行為法理論」の中の「経済学的抑止論」(Economic Deterrence Theory

Susumu Hirano, Professor of Law, Faculty of Policy Studies, Chuo University (Tokyo, JAPAN); Member of the New York State Bar (The United States of America). Copyright (c) 2011 by Susumu Hirano.   All rights reserved. 但し作成者(平野晋)の氏名&出典を明示して使用することは許諾します。 もっとも何時にても作成者の裁量によって許諾を撤回することができます。 当サイトは「法と経済学」の研究および教育用サイトです。

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目次

講義補講(予定)

第一回2011年4月15日 イントロダクション/「法と経済学」とは何か?  /  第二回2011年4月22日 序論の続きと、総論  /  第三回2011年4月29日  総論の続きと、合理的選択理論、需要(消費・効用極大化)と供給(生産・利潤極大化)と、均衡と賃料規制と独占  /  2011年5月6日  休講  /  第四回2011年5月13日  総論の続き(パレート最適、カルドア・ヒックス効率、効率性対衡平性、等)  /  第五回2011年5月20日  「法」と「市場の失敗」  /  第六回2011年5月27日 「市場の失敗」の続き―「迷惑メールと共有地の悲劇」「公共財」「協力ゲーム」「囚人のジレンマ」「交渉[取引]理論」  /  第七回2011年6月3日 財産権と「反共有地の悲劇」と、会社法の法と経済学  /  第八回2011年6月10日  「コースの定理」  /  第九回2011年6月17日 「コースの定理」の続きと、「"不法行為"法と経済学」その@  /  第十回2011年6月24日 休講  /  第十一回2011年7月1日 「"不法行為"法と経済学」その@  /  第十二回2011年7月8日 「"不法行為"法と経済学」そのA   /  第十三回2011年7月15日 最終試験?!! 

2011年7月15日?!! (最終試験 試験時間は45分。
参照物等の「持ち込み不可」なので、しっかり勉強しておいて下さい。試験開始30分経過後は、理由の如何を問わず(交通機関の遅延でも、地球が破滅しても)一切入試出来ませんので注意下さい。
 法と経済学上重要な文言の漢字や英単語(含、一部ラテン語)も暗記しておいて下さい。

主要参考・引用文献

関連情報

ジョン・ロールズによる批判 〜公正としての正義、分配に於ける正義、他〜

「規範的法哲学者」(normative legal philosophers)とは…

ドゥオーキンによる批判

「法と経済学」と「シカゴ学派」の歴史

アメリカ法学に於ける学際研究の歴史と、法と経済学とカラブレイジ

「パレート最適」よりも「カルドア・ヒックス効率」の方が「法」の経済的分析に適する理由

【未校閲版】without proof

 2011年7月1日 「"不法行為"法と経済学」

不法行為法

平野『アメリカ不法行為法infra, at 38〜.  不法行為法の目的は@賠償とA抑止。抑止(法と経済学)は事前的(ex ante)に捉える。
Id. at 215〜19. 「抑止」、「誘因」(incentive)、「事前的(ex ante) ←→ 「事後的(ex post)な「矯正的正義」(corrective justice)(id. at 291-92)
道具主義・道具理論」(instrumentalism)、 Guido Calabresi: 「事故費用」(accident costs)と「事故防止(回避)費用(preventive costs)の和の極少化。 「運用費用」(administrative costs)も減らすべき。
Id. at 219〜20.  「危険(損失)の分散(risk―loss― spreading)、エスコラ(コーラ爆発)事件とトレイナー判事の反対意見。
「危険(損失)の分散」は、「一方的危険(unilateral risk)には適しているけれども、「双方的危険(bilateral risk)には不適切。∵モラル・ハザード逆選択(ファストフード持ち帰り用コーヒー事件) → 損害賠償の累計が多額になって、社会に必要な製品・役務の値段が高騰化したり市場から無くなる虞もある。即ち「殺し過ぎる」(overkilling) → 「歪み効果(distotorting effects).  例えば産婦人科医や小児科医等、そもそもリスクの高い診療科の医師・医療機関は訴訟のリスクも高いから、萎縮医療に繋がる。
deep pocket」、「分配的正義(distributive justice)対「矯正的正義(corrective justice)(id. at 292 & n.5)(アリストテレス)、富の配分は立法府と行政府に適しており、矯正的正義こそが司法府に(ビル・ゲーツ氏を轢いた路上生活者が賠償責任を免除されても良いはずは無い!?)。
Id. at 40.  抑止を重視する法と経済学者は、ルールの明確化を求める。 E.g., 製造物責任法上の「欠陥」の定義の明確化を求める筆者。  公法・行政規制で全て支配しない理由は、自律(autonomy)の重視。自由(=幸福)の尊重。 → Id. at 42 & 図表#2

【過失責任主義】

平野『アメリカ不法行為法infra, at 66 図表#4, 42図表#2   原則は、一般不法行為過失責任主義(過失なければ責任なし) イマニュエル・カント的な平等の論理――個人は幸福を自由に求めるけれども、他人の自由をも平等に尊重すべき。∴平等な注意義務を課されるべき。世間は狭いし、活動は危険を必然的に伴うので、注意を払っても生じる危険は互いに受忍すべき。 賠償の互酬原理reciprocal principle of recovery)。   逆に言えば、社会の構成員は皆、注意を払って行動する義務を負う。問題は何処までの注意を払うべきか?
Id. at 97.  要件は「注意義務」+「違反」+「因果関係」+「損害」=責任。 
ちなみに日本でも民法709条「故意または過失によって、他人の...利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」
「故意または過失」+「責任能力」+「権利侵害」+「因果関係」+「違法性阻却事由の不存在」+「損害」=責任。過失(注意義務違反)は「予見義務」違反と「結果回避義務」違反...
Id. at 100, 377〜.  アメリカでも予見可能性は必須。 / 「ex ante」(事前)の凾フ判断を、「ex post」(事後)に裁判所が判断する → 「あと知恵の偏見(hindsight bias)のおそれアリ。 / 過失基準=リーズナブル・パースン・スタンダードは、ミスも犯す不完全な人間に対して完璧を求めるから、非常に厳しい基準である。 

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2011年7月8日 「不法行為"法と経済学"」そのA

過失責任主義の続き(具体的な基準の模索と「ハンド・フォーミュラ」)

平野『アメリカ不法行為法infra, at 101〜  過失責任は酷である。
「リーズナブル・パーソン・スタンダード」 「コミュニティー・スタンダード」 → 要は、社会が求める注意を払う義務。それでは何が社会の求める注意義務なのか? より具体的な基準を求めて ... 「業界慣行」「制定法違反即過失」、そして危険の計量 ↓
平野『アメリカ不法行為法infra, at 106. 注意義務」(duty of due care)の範囲・射程が一番重大な争点になって来た。すなわち、何処まで注意義務を払えば免責されるかという限界値が重要。 See also VELJANOVSKI, infra, at 186.
→ 「リーズナブル・パーソン」ならば何処まで注意を払うべきか?
Id. at 106〜  「ハンド・フォーミュラ(ハンド判事の公式)Id. at 106-07, 266〜(「期待事故費用」と「防止費用」)(Hand Formula: B<PL→negligence), 267-68 & n.154(定義と'47年のCarroll Towing判例)、リスク(PxL)は「期待値」で表す。 /  R.ポズナーによる解釈、図表#26の解説 。 / 人類がアルマゲドン対策をしない理由は、「L」が多額であっても「P」が余りにも低いから、結局は「PxL」も低いので、高額すぎる「B」を人類が負担しようということに成らない。

ハンド・フォーミュラ(ハンド判事の公式)

平野『アメリカ不法行為法infra, at 266, 268-69& n.154. ハンド・フォーミュラ(ハンド判事の公式)の定義と'47年のCarroll Towing判例、について。

"liability depends upon whether B is less than L multiplied by P ...."
by Learned Hand, J.

Hand Formula: B<PL→negligence

新しい第三次リステイトメント案にも採用されている。→ 平野『アメリカ不法行為法infra, at 273.
Bが安価な場合には有責と判断され易い。「The T.J. Hooper」判例(平野infra, at 109) (無線機を設置する費用は安価で、嵐の情報を得て難破を回避できるという効果は絶大); 「Wagon Mound 2(平野「補追」)判例も(湾内の火災というLが甚大で、Bは比較的安価と評価された為に有責判決)。 / PLが小さい場合には無責と判断され易い。「Bolton v. Stone」判例(平野「補追」) (クリケット場のフェンスを越えて歩行者が受傷 --飛び出す蓋然性(6回/過去30年)も、当たる蓋然性も(過去90年で0件)低いし、フェンスを更に高くしたりクリケット場を移転する費用は高額).

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過失を要件とせずに原因と結果のみで責任を課す「厳格(無過失)責任」(strict liabilityとの相違 -- 「活動レベル」(activity levelへの働きかけが必要な「超危険な活動」(ultra-hazardous activityの場合(街中で虎を飼ったり、街中でダイナマイト爆破したり)。 注意を払っても活動自体が望ましくない場合は厳格責任。もっと望ましくない為に活動を一切禁止する場合は、刑事法等も用いた行政規制に。  

厳格(無過失)責任と、「活動レベル」への働き掛けと、「一方的危険」と、「歪み効果」

厳格(無過失)責任」(「特殊の不法行為」民法714条以下)(strict liability平野『アメリカ不法行為法infra, at 41-42, 110-13. →「注意レベル(care level)への働き掛けだけでは不十分であって活動(行動)レベル(activity level)への働き掛けが必要な場合。
過失責任が望ましい場合と、厳格責任が望ましい場合の区別 →  「双方的危険」(bilateral risk)では過失責任、「一方的危険」(unilateral risk)では厳格責任 Id. at 248-50 (蒸気機関車と隣接農家の耐火性作物のハイポ/双方的な原因という考え方)凾フ活動や効用への「平等」な尊重 Id. at 295-99 (「後の行為者later actorと「先の行為者earlier actor).

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厳格(無過失)責任と、「活動レベル」への働き掛けと、「一方的危険」と、「歪み効果」】(一部既出)

厳格(無過失)責任」(「特殊の不法行為」民法714条以下)(strict liability平野『アメリカ不法行為法infra, at 41-42, 110-13. → (以下再説明)注意レベル(care level)への働き掛けだけでは不十分であって活動(行動)レベル(activity level)への働き掛けが必要な場合。超危険な諸活動(ultra-hazardous activities)」「異常な迄に危険な諸活動(abnormally dangerous activities)
過失責任が望ましい場合と、厳格責任が望ましい場合の区別 → 「双方的危険」(bilateral risk)(e.g.,設計欠陥(ナイフの危険性の管理))では過失責任、「一方的危険」(unilateral risk)では厳格責任(e.g.,製造上の欠陥(外れ玉コーラ瓶が他原因なく惹き起こす爆発の危険)) Id. at 248-50 (蒸気機関車と隣接農家の耐火性作物のハイポ).
注意レベル(care level)活動(行動)レベル(activity level)に於ける抑止効果 = Id. at  41-42 & fig.#2, 250-53.  残余事故費用residual accident costsを誰に負担させるべきか? 過剰抑止over-deterrenceによる歪み効果distorting effectsの懸念。Id. at 253-54.医療過誤と「歪み効果」 --- 「防衛[的]医療(defensive medicine) =必要な活動に対する萎縮効果 Id. at 147.

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...。

無過失(厳格)責任

平野『アメリカ不法行為法infra, at 110〜113.

無過失責任に適した一方的危険と、過失責任に適した双方的危険

平野『アメリカ不法行為法infra, at 41, 248, 250〜 「活動レベル」(care level)、「注意レベル」(activity level)...

過失責任主義は産業補助的だとする左傾化思想の盛衰

Id. at 43〜
EL: エンタープライズ責任」 平野『アメリカ不法行為法infra, at  44-47. 
無過失責任、企業が保険者(insurer)に成って、受傷者が被保険者(insured)。→ 危険(損失)の分散 (risk spreading / loss spreading)

製造物責任の中の「製造上の欠陥」には適した理論。コーラ瓶の爆発事故。生産工学上一定割合で発生が不可避。受傷者はinnocent & helpless. そのような被害者の損失を一人で負担させるよりも、寧ろ広く浅く製品価格に上乗せして皆で分散して負担すべき。

しかし、「設計欠陥(たとえば持ち帰り用コーヒーのレシピ上の温度設定が熱過ぎるという欠陥主張)や「警告欠陥(たとえば持ち帰り用コーヒーの警告が不十分だったという欠陥主張)には適さない。∵これらの場合は事故発生に於いて受傷者にも落度がある場合もあり、安易な提訴が可能に成るから逆選択モラル・ハザード(Id. at 235-38)の虞もあり――注意深い善良な多くの消費者が、愚かなπ達に対して「補助金」を支払うことを強いられる――、損害賠償の累計が多額になって、社会に必要な製品・役務の値段が高騰化したり市場から無くなる虞もある。即ち「殺し過ぎる」(overkilling) → 「歪み効果(distotorting effects).  例えば産婦人科医や小児科医等、そもそもリスクの高い診療科の医師・医療機関は訴訟のリスクも高いから、萎縮医療に繋がる。「defensive medicine
運用費用(administrative costs)も高額に掛かり過ぎて、アイスクリームの喩え話(Id. at 226以降)のように原資が消失して非効率。しかも、敗訴すれば救済されない被害者も出てくる。→ 「litigation lottery」 → つまり、広く遍く救済は、社会保障的制度の方が効率的。訴訟は適さない。
そこでニュージーランドでは(Id. at 48-52)、訴訟に代えて、社会保障的に被害者救済を行う「ACC: Accident Compensation Corporationが設立された。その良さは、訴訟に頼った不法行為による救済の@「運用費用」の無駄を抑えることが出来て、且つAlitigation lotteryな不平等を廃して広く遍く被害者の救済を行える点にある。同国のPalmer首相も、アメリカ型の不法行為訴訟に頼った救済制度は弁護士達を富ませるだけだと批判している。

Id. at 312(ハンド・フォーミュラが秀逸な2つの理由)と「費用便益分析(cost-benefit analysis: CBA)/「危険効用基準(risk-utility test)

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【製造物責任法】

平野『アメリカ不法行為法infra, at 149-53,

定義: 製品の欠陥が損害を惹き起こした場合には、製造業者等が賠償責任を負う。平野アメリカ不法行為法infra, at 149. 
欠陥分類 無過失v.過失 欠陥基準
「製造上の欠陥」(mfg. defects) 無過失責任 標準逸脱基準(嘗ての消費者期待基準
deviation-from-the-norm test
(consumer expectations test)
「設計欠陥」(design defects) ほぼ過失的 危険効用基準→後にRAD (CBA的)
risk-utility test
reasonable alternative design
(cost-benefit analysis)
「警告欠陥」(inadequate instructions and warnings /
failure to warn
ほぼ過失的 危険効用基準RAD (CBA的)

平野 at 157-80.

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【不法行為法の「法と経済学」からの目的】

「効率性」(efficiency)=法と経済学的分析
すなわち、「最適」(optimalなレベルを目指す。 → See R. PosnerのB<PLのグラフ、平野@図表#26, 270頁("optimal level of care")

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【ハンド判事の公式 --- B<PLの補足】

「危険回避」(risk averse)的選好と「危険愛好」(risk preferring)的選好と「危険中立」(risk neutral)的選好 → 平野『アメリカ不法行為法infra, at 283-85(中立とハンド・フォーミュラ); 238-39 (回避と愛好).   

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【「危険の分散」と「ディープ・ポケット」理論への批判】

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【チーペスト・コスト・アヴォイダー:最安価事故回避者】

平野『アメリカ不法行為法infra, at 217-

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【製造物責任=無過失責任と云うステレオタイプな捉え方の誤り】

  

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法と行動科学(認知心理学)

平野『アメリカ不法行為法infra, at 348ページ以下を読むこと。
法と認知心理学=@/ 法と行動経済学」のページも参照。
「蓋然性無視」(probability neglectとは、…。平野 at 282; 9 n.24 (ホット・コーヒー火傷の期待事故費用).
「入手容易性ヒューリスティック」(availability heuristicsとは、…。平野 at 363.
「あと知恵の偏見」(hindsight biasとは、…。 ← 発生してしまった出来事によって世界観が修正されてしまい、その「投錨」が調整できない。 「投錨と調整」(anchoring and adjustmentとは、…。平野 at 370.
「投錨と調整」(anchoring and adjustmentとは、…。平野 at 367.
「帰属錯誤」(attribute errors)/「観察者効果」(observer effectsとは、…。平野 at 401-02.

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契約法(contracts)

本講座では時間の制限上、「enforceability」と「gap & contingency」についてのみ触れる。

 「encorceability」について

COOTER & ULEN, infra, at 217-25.

 「contingency」(偶発事象)について

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2011年7月15日

 最終試験 ?!!

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2011年4月15日講義

序論 Introduction

法と経済学(総論) Law & Economics

<法律を学際的・総合/政策的に分析する基本としての「法と経済学」

See総合政策とは何か?

「学際的」とは…↓

- 法律学が独立してその中だけで完結できるという古来の因習的法律学への懐疑・批判。

 - ミクロ経済学「的」な思考を(含、厚生経済学「的」に)応用した法律学。

  i.e., 稀少(scarce, scarcity)資源を、如何に配分すべきか?

 - 道具instrumentality理論的な視点を入れる。つまり、法は目的達成の道具。

 - 近年では、「倫理哲学」や「認知心理学・行動科学」等からも学際的に分析。

  テキストでは、更に「行動科学」「認知心理学」「行動経済学」「倫理哲学」「法と文学」「法と大衆文化」等々からも分析。 --- 学際法理

「法と経済学」は「規範」を論じ、規範の正当性を得る為には、効率性だけからではなく倫理哲学等からの支持も必要という点もテキストは強調。

「総合/政策的」とは…↓

- 諸学問分野からの分析結果を「総合」して、「目的達成のために採るべき手段を判断」。

  i.e., どちらを勝訴させた方が社会にとってより望ましいか?

  ∴「巨視的」(macroscopic)である。 ← 因習的な法律学は「近視眼的」(myopic)であった。

  同時に、経済効率性以外の諸価値、諸考慮も。

  テキストでは、不法行為法(含、製造物責任法)に於ける総合的に判断を示している。

特に、「財産[]法」(含、知的財産権)、「契約法」、および「不法行為法」に於ける分析

「法と経済学」は、「経済学」ではない――独立した学問領域であり、かつ、どちらかと云うと「法律学」に於いて発展。Seeアメリカ不法行為法 at note 2 at 215 and accompanying text. → 学際的、「ロー・アンズ」(law ands)、法哲学法社会学、等々。
ミクロ経済学厚生経済学的思考を用いる。
ミクロ経済学=家計の消費と企業の生産という個別経済から全体を議論し、市場を研究対象にする。 / 厚生経済学=効率、所得分配、厚生(welfare)の極大化を研究対象とする。 −−− 前者は「資源の効率的な配分(allocation)」を重視。後者は「富の公正な分配(distribution)」にも思いを馳せる…。
稀少(scarcity)資源を、多様な重要性を有する欲求の間で、如何に配分すべきか?
稀少資源 効率的利用促進。
巨視的macroscopicな(i.e., 社会的な目標から望ましい法を探る)点に於いて、これまでの法律学の以下の特徴に対峙: @当事者間の利益衡量を量る、A条文・文言解釈。
一つのアプローチであって、全てではない。  [平野: 法にとっては、たとえば「倫理哲学」(Moral Foundations)的な視点も重要]
[平野: 「行動経済学」(behavioral economics)や「認知心理学」(cognitive psychology)等からの、新しい批判も重要。] 筆者の以下のウエブページも参照 → 「法と認知心理学=@/ 法と行動経済学

 小林&神田infra, at ___(最初と最終章);  クーター&ユーレン, infra, at 11-17.

hypo..を利用[1]

ハイポ」(hypothesis, hypothetical)とは…。「事例研究」!!

E.g.,   鉄道と沿線農家   Seeアメリカ不法行為法 at 249.


[1] なお「経済学」は、突飛?!な仮定を前提に議論する(から役立たない?!)と揶揄されることもある。たとえば、economist jokeとして、「離れ小島に漂流した、物理学者と、化学者と、経済学者が、缶切り無しで缶詰を空ける方法を議論した。…。」というジョークは有名。POLINSKY, AN INTRODUCTION, supra, at 1.

工場と周辺住民   アメリカ不法行為法 at 247.

自動車と歩行者etc.  Id. at 248.

  迷い牛と隣接農地の被害 (有名な「コースの定理」) Id. at 239-40.

どっちが勝訴すべきか? --- 因習的な法律学(*)では…。v. 法と経済学では…。

(*)これまでの法律学の以下の特徴に「法と経済学」が対峙: @当事者間の利益衡量を量る、A条文・文言解釈。 小林&神田infra, at 190.

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(講義は以上迄にて時間切れ終了; 残りは次回に。)

2011年4月22日講義

以下、「序論」の続きと「総論」

前回の続き

はしがき pp. iii - v

p.1 法の進化 (プライバシー権の確立を例に挙げて)

pp. 1-14 コースの引用と巨視的な視点の重要性、 ホットコーヒー訴訟を例に挙げて、危険(損失)の分散理論とその欠点、一方的危険と双方的危険の違い、資源の稀少性ゆえの効率性と「最適な」(optimal)ことの重要性、生命の為にはコストを惜しまないという概念が神話に過ぎないとするカラブレイジの指摘と「アルマゲドン」、幸福な王子、B<PL。

【未校閲版】without proof

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2011年4月29日 総論の続きと、合理的選択理論、需要(消費・効用極大化)と供給(生産・利潤極大化)と、均衡と賃料規制と独占

前回の続き

巨視的macroscopicな(i.e., 社会的な目標から望ましい法を探る)点に於いて、これまでの法律学の以下の特徴に対峙: @当事者間の利益衡量を量る、A条文・文言解釈。
法律学: 判例分析を通じた解釈の一貫生の発見(クーター&ユーレン, infra, at 11.)。
法と経済学: 極大化、均衡、効率、等々の概念は法にとっても重要(クーター&ユーレン, infra, at 13.)。 ∵法が基準として求める「合理的」(reasonable人間行動を説明する基本概念である。(クーター&ユーレン, infra, at 15.

<法律を学際的・総合/政策的に分析する基本としての「法と経済学」の続き>

法律学

公法と私法 ...憲法、行政法、刑法、刑事手続法 ... 民法、民事手続法、商法
公法
 憲法(統治機構+人権規定)、行政法、刑法(罪刑法定主義、法の支配、法治国家)、...。
経済法(独禁法+景品表示法)
私法
本講座では特に「財産法」(含、知的財産権法)、「契約法」、および「不法行為法」を分析する。
もっと広い諸法律分野にも適用可能--- e.g., 会社法(*)
(*)例えば「D & O」と「corporate governance」論に法と経済学が関係して来る。→最適なコストで最大の効果を。
民法   propertyとは...、contractsとは...、 tortsとは...。  See 平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 53-54.
「財産法(property):物権、知財権(IP)」
「契約法(contracts)」 -- 約束、申込+承諾=意思の合致 (+consideration)、全ての約束が法的強制力を付与される訳ではない。
「不法行為法(torts)」--平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 27-53.---- 他人の権利侵害、損害、賠償
「親族相続法(family law, trust, etc.)」
商法・会社法――民法<一般法>に対する「特別法」

実体法と手続法 ... 民法、刑法、行政法 ... 民事手続法、刑事手続法、行政手続法

一般法と特別法 ... 民法と民事手続法 ...

大陸法と英米法 ... 比較的に、前者は実体法を重視、後者は手続法を重視
実体法、手続法(「民事訴訟法」(cvil procedure)、「刑事訴訟法」、「証拠法」(evidence)...)
なお、「法と経済学」は「規範」を論じ、規範の正当性を得る為には、効率性だけからではなく倫理哲学等からの支持も必要という点をテキストは強調。

  E.g., 「自己責任v.他人の所為(せい)personal responsibility v. blaming others Seeアメリカ不法行為法 at 332.

熱いホット・コーヒーは欠陥か?   Id. at 2-10.  /  ファースト・フードの食べ過ぎで肥満になったのはチェーン店側の責任か?  /  シュレッダーで子供が指を切ったのは欠陥か?  /  公園のベンチで子供が後ろにもたれかけて枝が刺さったのは市の責任か?  /  

<以下は後に講義で扱う>

 「財産法」上のトピックの例は、e.g., 共有地の悲劇」(資源涸渇、環境法)v. 「反共有地の悲劇」(私有財産細分化、財産法)

 「契約法」上のトピックの例は、e.g., 協力解による」余剰価値の創出(法と経済学では「財産法」に於いて説明する)。

余剰」(surplus)とは、総満足(総便益)からそれに必要な総費用を差し引いた額。   See奥野『ミクロ経済学入門』 infra, at 32.

<法と経済学上の主要概念の解説>

法と経済学は、「ホモ・エコノミカス」(homo economicus:[合“利”的]経済人)(*)を前提として来た。(∵その方が思い描きやすいから?!See WITTMAN, at 16.)
(*)「ホモ・サピエンス」(homo sapiens)をもじった造語。 利己利益追求のみを目的として、合理性を手段として、行動する人の意。 See 友野『行動経済学』infra, at 10-11, 14.. すなわち平野の言うところの「合“利”人」。
稀少ゆえに、稀少資源(scarce resources)の効率的な配分(allocation)という選択・決定が重要に成る。  COOTER & ULEN, infra, at 15.
     → 次段落の「合理的選択理論:rational choice theory」 や、「需要の理論」を参照。

以下、拙書 『アメリカ不法行為法at 215頁以降(第二部、第I章、第一節以下参照)。

「市場」"market"とは…。 Seeアメリカ不法行為法at 217(「財や役務が交換される場」).  法と経済学(ミクロ経済学)の特徴は、「市場」の機能を用いること。  なお「(a good)とは、広義では「何らかの効用(消費で得られる満足)を有するもの」の意で、狭義では役務に対比される「有形物」の意。
「極大化」"maximization" 全ての経済主体にとっての目的が極大化。 企業は利潤の、消費者は「効用」(以下)の、極大化を目指す。 Seeアメリカ不法行為法at 216-17.  殆どの人々は合「利」的(rational)であり、合「利」的ならば極大化を求めるはずなので、法と経済学は人々[含、事業者;経済主体]が極大化を目指すことを前提にしている。制限("constraints")内の中に於ける最高の選択肢(the best alternative)を選択することを極大化していると言う。→「合理的選択理論」("rational choice theory")  COOTER & ULEN, infra, at 15; アメリカ不法行為法at 349 & n.3 (合理的選択理論に対する認知科学的批判).
「効用」"utility"「選好順序」preference ordering満足、幸福、快楽、等々。  クーター&ユーレン(太田勝造訳) 『法と経済学(新版 )』, infra, at 33.
「合理的選択理論」」("rational choice theory")   --- 前提: 人は合「利」的であって、安定した選好を抱き、かつ順序を付けることができる。経済学者は簡略化して以下のように表す。
See WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 10.

需要(demand)の理論: 消費者の選択(効用の極大化)   COOTER & ULEN, infra, at 23-26.

消費者の無差別曲線」(indifference curve)と「無差別地図」(indifference map) COOTER & ULEN, infra, at 24 (Fig. 2.4); クーター&ユーレン, infra, at 35-36 (図2.3). 同じ選好順位に居て同じ量の効用をその個人に与えている組み合わせの集合体。すなわち同じ曲線上の組み合わせの間では「どちらでも構わない」(indifference)ような曲線例えばU(x, y)=30は、U(x, y)=26U(x, y)=24よりも上位の選好順位を示す曲線である。 この地図で、消費者の嗜好(taste)が示される。
消費者の制約条件(予算)線constraint [budget] line) COOTER & ULEN, infra, at 25;  クーター&ユーレン, infra, at 37.   I=income
前掲の「無差別地図」と、「予算という制約条件線」(I)との組み合わせ(=再配分)の交点を探ると…→   実現可能(feasible)な制約下で効用の最上位の無差別曲線との交点が、効用が極大になる接点(M: maximum)=「最大効用」(greatest utility)、「制約条件付極大値」(constrained maximum)=「限界(*1)費用(*2)(marginal costs)」と「限界便益(*3)(marginal benefits)」が等しくなる点。 COOTER & ULEN, infra, at 25;  クーター&ユーレン, infra, at 37.
(*1)「限界(marginal)」は、微小な変化small increasやsmall decrease)[で限界値を求める場合に用いられる概念]。COOTER & ULEN, infra, at 26; クーター&ユーレン, infra, at 37.
(*2)「限界費用marginal costs: MC)」とは、制約条件線(I)が[限界的な]極大値(M)に至るまでのy購入量の微小な減少による効用の微小な減少の意。クーター&ユーレン, infra, at 38.
(*3)「限界便益marginal benefits: MB)」とは、制約条件線(I)が[限界的な]極大値(M)に至るまでのx購入量の微小な増加による効用の微小な増加の意。 Id.
MC<MBである限り、人は、y購入量の微小な減少とx購入量の微小な増加という再配分を続けてM)を目指す。 Id.

「制約付極大値」または「経済的最適値」(economic optimum)とは、再配分の結果としてMCとMBが等しくなる点。
See COOTER & ULEN, infra, at 25.

[平野] すなわち再配分の微小な組み合わせの中で、最大限度の効用を達成しようとする。

法と経済学に於いては、この “制約条件下での極大化” こそが重要。
様々な問題に於ける、限りある時間や資源を何処にどれだけ配分することが最適か?を探る際の有用な手段。
クーター&ユーレン, infra, at 37-38.

汚染減少努力の社会的最適量(COOTER & ULEN, infra, at 27 (Fig. 2.7))  → 汚染を完全に除去することは最適ではない。幾らかの汚染を受忍した方が社会的には最適。最適値以上に社会的限界費用(SMC: Social Marginal Costs)を使うことは、それに見合う社会的限界便益(SMB: Social Marginal Benefits)を得られない。(逆に最適値未満しか費用を使わなければ、費用節約よりも便益の低下の方が凌駕する。)世の中には只な財は殆ど存在しない点を認識すること、および、費用と便益を計算すること[Cost-Benefits Analysis: CBA]こそが、法と経済学の知恵の主要部分を占める。COOTER & ULEN, infra, at 28.

「供給」(supply)の理論: 事業者の利益極大化(profit maximization)  「需要」という制約下と生産上の限界という制約下に於ける利益極大な生産を求めて行動する。  COOTER & ULEN, infra, at 30.

総費用の限界値よりも総収入が上回る限りは生産し続ける。  E.g., アウトソーシング 対 内製化
需要・供給曲線の図右肩上がりのS」と、右肩下がりの「D」曲線 ∵価格が需要「量」と供給「量」を増減させる。 (Price Theory) 価格と需供量との組み合わせ 前提は完全競争市場。 See 奥野『ミクロ経済学入門』 infra, at 14-15;  VELJANOVSKI, infra, at 25; クーター&ユーレン, infra, at 51-52. COOTER & ULEN, infra, at 33-34.
法と経済学は、とりあえず個々人の異なる反応を無視して、全体としての人々の予測可能な反応を捉える事を前提に論議する。 VELJANOVSKI, infra, at 21-22.  (平野: E.g., 普通の人々は、値段が下がれば沢山買う云々)  経済学は、費用や収入等の制約下に於ける多くの人々の選択を研究する。VELJANOVSKI, infra, at 24.
「均衡」"equilibrium"  See 奥野『ミクロ経済学入門』 infra, at 15; クーター&ユーレン, infra, at 52.  極大化が実現されている状態。前掲の需給曲線上の均衡のように、極大化を目指す消費者と事業者の独立した行動がどのような[完全]競争市場(後掲「市場の失敗」----が存在しない市場)でも均衡状態に導くことを、「一般均衡"general equilibrium"と言う。クーター&ユーレン, infra, at 68; COOTER & ULEN, infra, at 43.
神の見えざる手"invisible hand" 完全競争下では、「一般均衡」が社会的に最適な資源の(生産と消費者への)配分を示す。See クーター&ユーレン, infra, at 68;  at 228.
市場経済による均衡が望ましい理由を示す事例 COOTER & ULEN, infra, at 37-38 & Fig. 2.12 (貸家と家賃上限条例). 均衡値よりも安い最高家賃条例は、過少供給/需要過多をもたらす。 → 家主によって低利益に見合う質の低下や、裏金の要求等を生む。(平野:ヤミ市場も生む。e.g., 旧社会主義国経済や戦後日本に於ける闇市や、禁酒法下のマフィアの繁栄、等)
完全競争市場"Perfectly Competitive Market" どの一つの企業・消費者の行動も市場価格に影響を与えない状態。クーター&ユーレンat 51.  独占市場は原則として宜しくない。(例外:政府管轄下の自然独占:水道事業等) See アメリカ不法行為法at 228.

「誘因」(又は「誘引」)(incentive)分析 --- 法と経済学は誘因を重視する。 VELJANOVSKI, infra, at 22-24.

前掲「需要と供給」曲線が示した通り、殆どの人は、費用と便益に予測可能な反応を示す。(たまに存在する予測不能な不合理な人は全体を把握する上では無視する)
そのような人間の性向を、在るべき法に応用する。E.g., タバコ規制と課税
更にe.g., 道路交通法と事故抑止 --- 人は、速度を速めることにより得られる便益が、被る損失よりも凌駕すれば、速度を速める。∴罰金を課せば損失が増えて速度の出し過ぎに対する抑止に成る。
同様に、犯罪規制にも厳罰化が用いられる。←尤もサイコな犯罪者には効果無し(E.g., 「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士等)

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2011年5月6日講義 休講

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 2011年5月13日

総論

以下、拙書 『アメリカ不法行為法at 215頁以降(第二部、第I章、第一節以下参照)。

以下、「総論」の続き

<法と経済学上の主要概念の解説の続き>

「価格理論」(price theory) −−− 価格とか収入等の制約下に於ける人々の「選択」を分析する。その核心は「稀少性」「選択」!!   VELJANOVSKI, infra, at 19. 

「便益」や「選好」を「支払意思額」によって定量化 ↓
max. WTP(*) minus sum paid」=consumers' surplus(*2) (benefits)」 
VELJANOVSKI, infra, at 24.
(*1)WTP」=willingness to pay:支払意思額  
参考:アメリカ不法行為法at 438以降、(特にpp.439-40, 441-45).
(*2)余剰」(surplus)とは、総満足(総便益)からそれに必要な総費用を差し引いた額。   See奥野『ミクロ経済学入門』 infra, at 32.
資源が「稀少」であるという前提 ∵資源が稀少でなければ「選択」も不要になるから。VELJANOVSKI, infra, at 19. / ∴法と経済学は、資源の配分と選択決定を重視する!!  VELJANOVSKI, infra, at 27.
→ E.g.,「TOEFL」の試験勉強に於いて、週10時間(2 hrs /day x 5 days a week)の勉強時間を、「文法」に配分するか、「リスニング」に配分するか、どちらが効率的か???

→ E.g.,   オスカー・ワイルド著『幸福な王子』からのメタファー アメリカ不法行為法at 10-13.

資源が稀少だと、「費用」と「便益」が常に関係して来る。 VELJANOVSKI, infra, at 24.  「費用対効果」(cost performance)が重要になるからである。 CBA: cost-benefit analysis
資源が、最も高い価値を置く者に配分される事を目指す!! VELJANOVSKI, infra, at 27.

パレート最適、カルドア・ヒックス効率、CBA、効率性対衡平性、等

 法と経済学で重視される三要素は、以下。  COOTER & ULEN, infra, at 15-17.

@「極大化」"maximization"(前掲参照)
A「
均衡」"equilibrium"(前掲参照)
B「効率性」"efficiency"

「極大化」等の続き

功利主義」(utilitarianism)の父=Jeremy Bentham (1748-1832). 法と経済学の父とも呼ばれる。

the greatest amount of happiness for the greatest number of people」な社会を構築すべし、と説く。

すなわち、社会は効用を極大化すべし、という意。

See WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 14.

「効率性」

"efficiency"には多様な定義が存在。たとえば生産に於ける効率性の場合は、同じ費用でもはやこれ以上の生産が不可能な状態。 See COOTER & ULEN, infra, at 15. 他にも以下の理論がある。Id. at 16-17.

(以下における「効率性」は、稀少資源の最適な配分に於ける効率性の文脈で用いられる。)

パレート最適(効率)"Pareto Optimality"(又はPareto OptimumやPareto Efficiency) Id. at 69; VELJANOVSKI, infra, at 32; アメリカ不法行為法at 227.
参考:パレート最適は以下の三つの倫理的前提に基づいている。VELJANOVSKI, infra, at 32.
1.個人は自己の福祉の最適な判断者である。
2.社会の福祉は、社会を構成する個人の福祉如何に懸かっている。
3.他人の福祉を誰一人として減少させることなく少なくとも一人の福祉を向上させられる変化は社会の福祉を向上させる(此れこそがパレート最適)
better off」(良化) v. worse off」(悪化)
パレート最適が政策として使い難い理由は、どんなに小さな政策変更でさえも少なくとも一人の利益を損ねる蓋然性は高いからである。VELJANOVSKI, infra, at 32.  従って如何にnet gainが向上する政策でさえも採用されなくなってしまう。Id.
現実の広い世界に於いては、全員を同定して全員をworse offさせない施策は不可能。 たとえば、環境保全の為にレンガ工場の生産量を減らさせるという政策は、レンガの値段が上昇するからレンガを購入して建築をしようと望んでいる多くの消費者の利益に反してしまう。[つまりレンガ消費者がworse offするからといって、常に環境施策が採れないというのでは奇異である。]   WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 22.
「パレート最適」は拒否権を付与してしまい「パイ」(pie)が広がらない。 →「アリとキリギリス」のジョーク(アメリカでは、キリギリスがバイオリンの腕を見出されて大金持ちに。ソ連版では両者共に餓死に至る! 日本[平野版]では、アリが過労死してキリギリスも餓死!!
「パレート最適」な状態ならば、法は不要。 See George P. Fletcher, Why Kant, infra, at 425.
カルドア・ヒックス効率"Kalldor-Hicks efficiency" (「可能性・潜在的パレート最適」"potential Pareto improvement"とも言う)  平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 227-29.  更には、「Kalldor-Hicks compensation test」とも言う。WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 22.
費用便益分析」(cost-benefit analysis)と同じ。VELJANOVSKI, infra, at 33 (allocative efficiencyとも云う). 便益が費用よりも凌駕すれば、その活動を採用すべきとなるから。平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 229; WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 27; VELJANOVSKI, infra, at 33 (其の政策を採る事で生じる如何なるlossesよりもgainsが上回れば其の政策を採用すべきとする).
冨の分配(wealth distribution)を「効率(efficiency)から切り離したものである!! VELJANOVSKI, infra, at 33.  (平野)∵「パイ」が広がってから、分配を考えれば良いという前提だから。
カルドア・ヒックス効率がパレート最適よりも望ましい例↓
ダム建設費用の分担 ダムからの収益の分配
Dean $65 $0 $40 $105
Prof. $35 $30 $0 $5
total $100 $30 $40 $110
学部長年収が$65で 一教授の年収が$35という二人の世界の総和は$100に於いて、収益が$40/年間のダムを構築するための費用が$30/年間であれば、ダムの純利益=$10 ($40-$30)という「余剰」(*)が追加されて、二人の総和が現状の$100から$110に増えるので、効用が高まり、善である。
[復習] (*)余剰」(surplus)とは、総満足(総便益)からそれに必要な総費用を差し引いた額。   See奥野『ミクロ経済学入門』 infra, at 32.  なお「consumer's surplus」については前掲のWTP(Willing-to-Pay:支払意思額)の説明参照。
しかし、ダム建設の費用$30を全て一教授が拠出せねばならず、かつ、ダムの収益が全て学部長に入るとなると、たとえ総和が増えても、一教授の年収が$5で学部長は$105となって、不公平。
パレート最適」ではない。しかし可能性パレート最適」(=カルドア・ヒックス効率)の可能性アリ。
尤も分配を考える際に、無駄が生じないような分配が望ましい。すなわち年収に対する[累進]課税である。
POLINSKY, infra, at 7-10.
効率性」は、「富の分配の公平性」とは必ずしも一致しない。↓
無駄のある分配方法とは、たとえば課税ではなく、弁護士を用いた裁判により財産権を決する方法。 熱い砂漠で、Aさんの穴にあるアイスクリームが沢山あり、Bさんの穴には何もなかった場合に、不公平だからといってAさんの穴からアイスをすくい上げてBさんの穴へ適量を移動させるように命じると、途中でアイスが散逸して不効率な分配になってしまう。
アメリカ不法行為法at 226-27; クーター&ユーレン, infra, at 195. / ↑は、法と経済学が、とりあえずは私法の在り方に於いては「分配」を無視する理由。
「効用」はパイを極大化させ、「衡平」はその切り訳にこだわる。
「efficiency/allocation」 v. 「equity/distribution  Id. at 224. --- 「まずはパイを大きくし、次にその切り分け方を検討する。」     アメリカ不法行為法at 217.
[平野] 法と経済学では、とりあえず、各人への分配の公正さやconventionalな法的倫理正義観は無視するSee, e.g., WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 86 (後掲「コースの定理」で紹介するように、カガイシャが敗訴すべきとfairnessから考える法曹に対して、コースは「効率性」(efficiency)を指導原理としたと指摘).
「景気上昇」 v. 「格差社会」= 「パイを広げることv.「パイを切り分けること」
  lawyer joke --- 「エンジニアはパイを拡大し、銀行家と○○○はパイを切り分ける。」
法と経済学が、とりあえずは私法の在り方に於いては「分配」(distribution)を無視する更なる理由は、↓
私法の在り方に於いて如何に分配的正義(*)を実現すべきかの理論が、未だコンセンサスに至っていない。
例えば、貧乏人の酒酔い運転手が富裕者の自動車にぶつかった場合に貧者を無責とするルールにすることは、富の再分配の手段として如何にも奇異である。
WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 18.
(*)分配的正義矯正的正義については、アメリカ不法行為法at 292 n.5参照。

____________.

「効率性」を重視する法と経済学に対し、「公平」(equality)や「公正」(fairness)という正義論(justice)も重要。
"Equal Justice under Law"
"We are all equal. But some are more equal."

Seeアメリカ不法行為法at 292 n.5(分配的正義/アリストテレス『ニコマコス倫理学』), 315(コミュニタリアニズム・分配), 342(ロールズ)
特にp.292 n.5(分配的正義と矯正的正義)は読んでおくこと。
参考:「富(所得)の(再)分配」"wealth distribution"  所得配分の公平性。 倫理的には「コミュニタリアニズム」や「分配」や「分配的正義」や「ジョン・ロールズの正義の第一原理:平等な自由の原理」  

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 2011年5月20日

前々回の講義の「誘因・誘引」(incentive)について(復習・追加)

法と経済学は誘因を重視する。 VELJANOVSKI, infra, at 22-24.
殆どの人は、費用と便益に予測可能な反応を示す。→ そのような人間の性向を、在るべき法に応用する。E.g., タバコ規制と課税――L.レッシグ「馬の法」:@直接的法規制、A社会常識、B規格、およびC市場原理(=誘引)を用いて、喫煙減少政策を実現化させる。

「市場の失敗」

法と経済学は、「市場」と「価格」を行動の原理として重視。売主と買主の行動と決定は、市場の価格機構と緊密な相関関係にある。VELJANOVSKI, infra, at 36.
需要供給曲線=「ハサミ」Id.
「市場」とは、取引交換の場。Id.; アメリカ不法行為法at 217.
「市場の失敗」"Failure of the Mkt." 原因(特に「法と経済学」で指摘されているもの)は、以下の四つ。
@独占(monopoly) → (平野) 映画「ブラッド・ダイアモンド」(レオナルド・デカプリオ主演)を参照。
A情報の非対称性(aymmetry of information)
B外部性(externality)
C公共財(public good[s])
Seeアメリカ不法行為法at 229以降, 239(外部性), 233(情報); クーター&ユーレン, infra, at 70-71.
これらの場合には治癒する為に、自由市場への政府の介入が許容されるとされている。BUTLER & DRAHOZAL, infra. at 120.

@「独占」(monopoly)

価格の操作が可能に成り、価格が生産限界費用を超えて高額に成る(*1)から非効率。VELJANOVSKI, infra, at 37-38.
逆に完全競争市場(*2)であれば、需要供給曲線の「神の見えざる手」(アダム・スミス)によって望ましい結果に到る。Id.
(*1) 完全競争市場に於いては、市場価格が限界費用を表すところまで下落するはずである(see POSNER (7th ed.), infra, at 8)。何故ならば、仮に或る生産者がそれ以上の価格を値付けしても、競争が激しい為に、消費者は他の生産者の提供するより安い(すなわち限界費用により近い価格の)代替製品を購入してしまうからである。See VELJANOVSKI, infra, at 37. なお、既に学んだように生産(supply)側では、生産者は利潤の極大化を求める。利潤の極大化とは、すなわち、「総収入(総売り上げ:total revenues)マイナス総費用(total costs)」の金額の極大化を目指すことを意味する。そこに於いては、生産物を一個増産する為の生産の限界費用(marginal cost)が価格より低い限りは、一個増産することにより追加的な利潤が獲得できるので生産量が増え続けて、究極的には「生産限界費用=価格」に到達するまで供給量が増えるはずである(see 森本, infra, at 105; COOTER & ULEN, infra, at 30; POSNER (7th ed.), infra, at 8; HARRISON, infra, at 264, 272)。 
(*2) 完全競争市場では、どの生産者が価格を変えても全体の価格に影響を与えない(例えば野菜生産者)。そのように、自らは価格決定力を有せずに市場価格を受容せざるを得ない者を、「価格受容者(price taker)と云う。HARRISON, infra, at 261.
参考: 完全競争市場では需要供給曲線の交わりによって決定される「市場価格」が「需要曲線」と一致するのと異なって、独占市場では独占企業のみが供給者である為に独占企業のみが価格を決定する「価格設定者(price maker)と成っている。そして、独占企業は、生産量を更に一個増やす為に、生産量を増加するにつれて価格を下げて行くので、「限界収入」(marginal revenue:MR)は一定では無く右肩下がりの勾配が需要曲線よりも厳しく需要曲線の下方を行くことに成る。この限界収入曲線(MR)と限界費用曲線(marginal costs: MC)との交点こそが供給の止まる点となり、その交点が示す生産量と価格は、完全競争市場に於ける均衡の示す生産量よりも少なく、かつ、価格は高価に成っている。消費者効用も一部が供給者効用に奪われて完全競争市場より少なく成り、かつ、消費者効用と供給者効用の総和も完全競争市場より少なく成っている。BUTLER & DRAHOZAL, infra. at 413以降、他。
応用: DeBeersによる「ブラッド・ダイアモンド」の独占。BUTLER & DRAHOZAL, infra. at 122. 弁護士数(合格者数)と云う生産量を制限するカルテルは何を生むか? / 生産者は常にpretextとして「質の低下」を叫ぶ。(e.g,, タクシー業界の参入障壁議論) / 日弁連は常に正しいのか? ← 人は誰でも「ホモ・エコノミカス」(Homo economicus) !! / 独占は価格以外の取引条件も悪化させる --- 質の低下、innovationの減少、生産費用の非効率な増加、等。
対策: 独占禁止法 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和二十二年法律第五十四号)

A「情報の非対称性(asymmetry of information)  

See 平野 『アメリカ不法行為法, infra, at 223-24.
完全競争市場では、全ての経済主体が意思決定に関連する完全な情報を持っているとの前提←→現実は異なる。BUTLER & DRAHOZAL, infra. at 120.
有名な「中古車(レモン(*))」市場の論文: George Akerlof, The Market for Lemons: Quality Uncertainty and the Market Mechanism, 84 QUARTERLY J. OF  ECO. 488(1970)(中古車の質を低いものと看做し、価格も低く評価してしまう).
 → 消費者は、危険な製品を不当に多く買い過ぎたり、逆に安全な為に高価でもある製品を不当に買い控えたりしてしまう。
 (*)"lemon"とは「欠陥品」の意。
すなわち、good carsがunder-evaluatedされ、bad carsがover-evaluatedされる → すると、good carsの売主は損をするから市場にgood carsを供給しなく成り、逆にbad carsの売主は得をするから供給したがる。 → bad carsがgood carsを駆逐し、good carsの市場が無くなってしまう = 「adverse selection」 (逆選択) BUTLER & DRAHOZAL, infra. at 220; アメリカ不法行為法at 235-38.
治癒策: 
     民法 ---  制限能力者(i.e., 未成年者、成年後見制度(*))=「取り消し得る」、詐欺=「取り消し得る」。

             (*)判断能力の不十分な者の行為能力を制限
                成年被後見人 .... 判断能力を欠く常況の場合
                被保佐人 ............ 判断能力が著しく不十分な場合
                被補助人 ............ 上ほどでは無い場合

特別法: 
消費者契約法」(平成十二年法律第六十一号) --- 重要事項の誤認等に因る意思表示を取り消し得る。
特定商取引法――「特定商取引に関する法律」(昭和五十一年法律第五十七号、改定:平成二十一年法律第四十九号) --- 訪問販売、電話勧誘販売、等に就いて、一定期間(書面受領後8日程度)以内ならば「クーリングオフ」(申込の撤回や契約の解除)可能。
景品表示法――「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和三十七年法律第百三十四号)(食品偽装問題) --- 誘引する為の広告等の不当表示(優良誤認・有利誤認)に対し排除命令→懲役または罰金刑。
製造物責任法」(平成六年法律第八十五号)--- 厳格責任の根拠の一つ。警告義務。「『欠陥』とは、...当該製造物の特性、...を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう」→「当該製造物の特性」には、「製造物の表示(事故を防止するための表示等)」が含まれる。
その他金融系取引、証券取引、等。開示義務。FD. 警告義務。告知義務。

B「外部化」(externalization)

externalities / external effects
@ negative externalities: 負の外部性 / external dis-economy: 外部不経済
A positive externalities: 正の外部性 (external benefits / external economy: 外部経済
費用を他人(第三者)に押し付ける事に因り、費用・価格が本来よりも安価に見える為に市場の調整機能が働かない。望ましくない生産を最適レベルにまで抑止する為には、その外部費用を内部化する事が必要。See VELJANOVSKI, infra, at 39.
別名は「spillover」「third-party effect」「divergence between private and social costsId. at 38.
v.「内部化(internalization) 
工場による公害と生産量、環境問題
Garrett Hardin, The Tragedy of the Commons 162 SCIENCE 1243 (1968)の概要説明...
配布物(パワーポイント):共有地の悲劇の復習、spamの法と経済的分析英語論文、迷惑メールの構造図
参考

迷惑メール問題。
 Seeアメリカ不法行為法at 229以降.  /  「迷惑メール」と「共有地の悲劇」については、『はくもんChuo』30頁〜(2007年春季号、中央大学広報担当刊)の「講義の風景:平野晋教授」も参照。
平野晋「迷惑メール問題と米国に於ける分析」in 『日本データ通信』127号、53, 60頁(平成14年9月)(Garrett Hardin, The Tragedy of the Commons 162 SCIENCE 1243 (1968)の要旨を紹介); Kenneth C. Amaditz, Canning "Spam" in Virginia: Model Legislation to Control Junk E-mail, 4 VA. J. L. & TECH. 4 at para. 3, 70 (1999) (「迷惑メールの違法性分析」として引用); 平野晋「迷惑メール(迷惑通信)対策」 in 『情報白書2004』((財)日本情報処理開発協会編、2004年8月); 「迷惑メール配信拒否――ドコモ、あて先不明多発で判断」 in 『日経産業新聞』2001年11月6日(仮処分勝訴命令を受けてドコモで筆者と社長が記者会見で発言した旨を報じる新聞記事); Michael A. Heller, The Tragedy of the Anticommons: Property in the Transaction from Marx to Markets, 111 HARV. L. REV. 621, 684 (1998) (所謂「反共有地の悲劇」に関する有名論文からの引用);   Michael A. Heller & Rebecca S. Eisenberg, Can Patents Deter Innovation? The Anticommons in Biomedical Research, 280 SCINECE 698, 698 (1998); RICHARD A. POSNER, ECONOMIC ANALYSIS OF LAW 66 (4th ed. 1992).

講義はおそらく以上迄にて時間切れ――続きは次回に)

目次に戻る。

 2011年5月27日 「市場の失敗」の続きー「迷惑メールと共有地の悲劇」「公共財」「協力ゲーム」「囚人のジレンマ」「交渉[取引]理論」

___________________.

「市場の失敗」の続き- 「迷惑メール(外部化・共有地の悲劇)」と「公共財」

  B「外部性」(externalities)の続き

 C「公共財(public good[s])

細田衛士&横山, infra, at 27〜; クーター&ユーレン, infra, at 155〜; HARRISON, infra, at 52-53 & Fig. 11.
公共財とは、一人が消費しても他人の消費を妨げない場合。供給者が一人に供給すれば、他者にも供給することになってしまう場合。←→私的財private good[s] BUTLER & DRAHOZAL, infra., at 123.
核防衛という安全保障         
情報財 ... 「非競合性」・「非排他性」という「公共財」ゆえに、「フリー・ライダー」が生じ、市場経済では効率的な生産が不可。故に政府が要介入。
          クーター&ユーレン, infra, at 162-63.
v.私的財」(private good[s]
排除原則exclusion principle
競合性rivalry 同時に存在し得ないような性質。 たとえば、「りんごvs.情報」
排他性excludability  対価を払わない人を排除できるような性質。  たとえば「腕時計vs.情報財」 → 排除技術の進歩&排除費用の低廉化により、費用対効果が向上して排他性が出て来る。E.g.,ソフトウエア
公共財は排除原則が上手く働かない。← 「非占有性non-appropriability
只(タダ)乗りfree rider 対価を支払わずに利益を享受する者。 クーター&ユーレン, infra, at 72-73. E.g.,核戦争に対する防衛軍備は、私的財には馴染まず(一人を守ると他人を守れない訳ではないから)、公共財(public goods)。
= positive externalities(正の外部性)を享受する者 HARRISON, infra, at 52. 
= 他人の行為から利益を得つつ、その他人は対価を得られない
。 例)多摩動物公園駅周辺の駐車場地主、借景、長屋で買う番犬
参考: 「公共負財」(public bads) 細田衛士&横山, infra, at 31.
ハイポ: 隣同士の家で何れが番犬を飼うか? 何れか一方が飼えば他方もカバーされる。
chicken gameHARRISON, infra, at 52.  双方の家は共に只乗りしようとして、双方共に番犬を飼わない虞が出る。
HARRISONFigure 11at 53 

↑ ちょうど『アメリカ不法行為法図表#25 at 230頁とは反対の曲線: 不十分な生産量しか生まれない。
∵ 「只乗り」しようする分だけ、需要が[不適切に]減る。

Cooperative Game (協力ゲーム)

財産権がなぜ有用かを示す為には、「協力ゲーム」(取引)が余剰を生むから望ましいという理論を理解し、且つ、取引が成立する前提として財産権が社会契約によって保障されることが重要であることも理解することが必要である。

配布物: 平野晋『体系アメリカ契約法』14〜17頁&図表#1.1(2009年、中央大学出版部).

自然状態(state of nature)から文明社会(civil society)の「協力解」へ
ハイポ: AさんとBさんが収穫物を奪い合うハイポ。クーター&ユーレン, infra, at 114-15, 122-23; COOTER & THOMAS ULEN(5th ed.), infra, at 83-84 & Tables 4-1 & 4.2.  生産の技能で各々50、150が生産される。しかし奪う技能+防衛技能の結果、富が再分配されて各々80、120を享受することに成る。
E.g.,,映画「マッドマックス2」(Mad Max2: Road Warrior: メル・ギブソン主演); 「七人の侍」(黒澤明監督)

state of nature

Farmer Corn Grown Corn Gained by Theft Corn Lost thru. Theft Net of Corn Consumption
A 50 40 -10 80
B 150 10 -40 120
200 50 -50 200

_____________________.

civil society

AさんとBさんが、互いに財産権を認め合う社会の場合。  余剰を分配する仕組みも合意されている。(以下の例では、余剰を平等に分配している)
Farmer Threat Value(*) Social Surplus Share of Surplus Net of Corn Consumption
A 80 cooperation 50 130
B 120 50 170
200 300 100 300
(*)threat value(威嚇値)とは、交渉が決裂しても得られる利得の意。[従って協力の結果この値を超える利得が各人に得られるならば、各人は協力に応じるはずである。]

以上をまとめると . . . ↓

自然状態state of nature 文明社会civil society 協力による余剰cooperative surplus
非協力解
non-cooperative solution
協力解
cooperative solution
社会的余剰
(social surplus)
A+B=200の総計生産量を互いに奪い合う。 所有権を承認し合って、奪い合いを
止めて浮いた費用を増産に当てた結果として
300の生産量に至る。
増産分100。
協力し合うことで、余剰価値を生む。
所有権が政府によって保障されているからこそ、譲渡を通じた以下のような余剰の創出が可能になる。
所有権の保障は「社会契約(social contract)」。 「社会契約」とは、交渉によって最終的に到達するであろう社会生活の基礎的な合意。
∴ 日本国憲法 第29条 (財産権の保障)   「財産権は、これを侵してはならない。」

______________________.

Prisoner's Dilemma (囚人のジレンマ)  −−− 「非協力ゲーム」(noncooperative game)の例
ゲームの中のように、戦略に従って決定を下す。「戦略」とは他者の反応に応じて行動を計画することの意。
COOTER & THOMAS ULEN(5th ed.), infra, at 38-41.
HARRISON, infra, at ???.
量刑分類 A(刑期・年) B(刑期・年) 計(刑期・年)
一人が自白
(Bは黙秘)
1 10 11
一人が自白
(Aは黙秘)
10 1 11
二人とも自白 5 5 10
協力解 二人とも黙秘 2 2 4
Aとっては、
  Bが黙秘の場合は、Aが自白すれば1年のみだが、Aが黙秘すれば2年なので、Aは自白した方が得。
  
Bが自白した場合は、
Aも自白すれば5年だけれども、Aが黙秘すれば10年なので、やはりAは自白した方が得。
  ∴Bが如何に行動しようが、Aにとっては常に自白が最適。
Bとっても同じ分析結果=自白が常に最適。  (これを総じて「ナッシュ均衡」と云う。)
尤も双方共に黙秘すれば、双方共に2年で済むけれども、互いに情報を交換し合えない情況ゆえに、その行動は採らない。(非協力ゲーム

______________________.

囚人のジレンマの「共有地の悲劇」への応用[1]

l         [映画「大いなる西部」[2]を思い浮かべてみて . . . ] 農夫Aと農夫Bが貯水池から水を汲むと作物の成長期が終わる前に水が枯渇してしまって、ABそれぞれ$50ずつしか収益できない。

l         しかしもしABどちらか一方が取水制限を自発的に採用すれば、取水制限者の収益は$30に成るけれども他方の収益は$80に成る。

l         そしてもしAB双方が取水制限をすれば、水が成長期の最後まで枯渇しないから、ABそれぞれ$60ずつの収益を得られる。

Farmer

双方ともに使い放題

Aのみが取水制限

Bのみが取水制限

双方が取水制限

A

$50

$30

$80

$60

B

$50

$80

$30

$60

$100

$110

$110

$120



[1] このハイポの出典は、Harrison, supra, at 50 (但し「大いなる西部」は講師が追記し、かつ後掲図表も講師が作成).

[2] Big Country(United Artists, 1958) (グレゴリー・ペック、チャールストン・ヘストン).

Bargaining Theory (交渉[取引]理論)

See COOTER & THOMAS ULEN, infra, at 78〜;  クーター&ユーレン, infra, at 113〜.
See also 平野晋『体系アメリカ契約法』16頁&図表#1.1(2009年、中央大学出版部).
ハイポ: 自動車のSellerはその価値を$3,000に評価($3,000以上なら売ってもokay)。Buyerは$5,000のキャッシュを遺産で入手したので、その内の$4,000迄なら購入しても良いと評価(これらの値を「threat value:威嚇値と云う」。) 交渉の結果、$3,500で売買成立。SellerとBuyerは各々$500づつ(計$1,000)の得をした。=$1,000の「余剰」が生まれた!

この「余剰」を更に分析すると、仮に両者が協力(交渉)せずに居た場合には、二人社会に於ける財の総価値は、$3,000(Aの評価額)+$5,000(Bの手元キャッシュ)=$8,000だったところを、交渉の結果で総価値は、Sellerが$3,500を入手+Buyerは$5,000(遺産相続キャッシュ)-$3,500(代金)+$4,000相当の自動車入手=$5,500となったので、計$9,000となり、非協力解よりも$1,000の余剰が創出された。
取引交換「前」 取引交換 取引交換「後」 余剰
Seller $3,000 $3,500 +$500
Buyer $5,000 $5,000-$3,500+$4,000=$5,500 +$500
Total $8,000 $9,000 +$1,000
これは「パレート最適」!! : 「win-win
すなわち、取引/契約は原則として各当事者の福祉を向上させ、延いては社会全体の福祉を向上させるので望ましい。 Korobkin, The Problems with Heuristics for Law, infra, at 48-49. 法の役割は、契約違反への救済を付与することにより契約への信頼を高めることと、取引の阻害要因である情報の非対称性を減少させることにある。Id.

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 2011年6月3日 物権・知財権、「反共有地の悲劇」と、「会社法」の法と経済学

財産権法(物権と知的財産権)と「反共有地の悲劇」

財産法(property): 物権、知財権(IP)

property(財産法)とは何か?--法律学的分析
propertyには以下の二つの要素が重要。COOTER & ULEN, infra, at 77-78.
@所有者は自身の財産に何をしても自由である。  
A上の所有者による権利行使に対して他者は干渉を禁じられる。
propertyは、他人に遠慮することなく所有者が意思を行使できるという「プライバシー(*)の領域」(a zone of privacy)を創造している。 /  「他者からの干渉に対して保護されている...『自由(liberty)』と呼ばれる。」    クーター&ユーレン, infra, at 112.
(*)privacyとは、see アメリカ不法行為法at 202. "right to be let alone" 
@人が...所有物について A為し得ることと、為し得ないこととを定めている。」  クーター&ユーレン, infra, at 111 (emphasis added).
「物権」(rights against the world:対世権) ←→ 「債権」(=対人効)(契約、事務管理、不当利得、不法行為)
「物権」: 有体物(tangible)に対しての権利。 
「排他独占権」=排他性が問題になる。
「限界」も問題になる → e.g., 憲法29条2項「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」、(著作権の保護期間、後段参照)
「所有権」---自由に使用、収益、または処分が可能。(民法206条)
「権利の束」(a bundle of rights
「占有権」「担保物権」
排他独占権の付与。但し、公有権とのバランスを図る。
保護期間 / 特許(発明)には「新規性」(公知はダメ)と「進歩性」(容易はダメ)が要。 / 著作権は事実情報等には及ばない。
ソフトウエア等のサイバー知的財産権に関しては、以下の諸問題が出現。

***** 以下、配布物(パワーポイント、反共有地の悲劇等)も参照。****

「パブリック・ドメイン(公有地)」論(共有知、オープン・ソース=フリー・ソフトウエア)。 / いわゆるミッキーマウス訴訟」 / 「反共有地の悲劇」の問題=情報交換の「取引費用」の高騰化。 ↓ 【「取引費用」に就いては、以下「コースの定理」の続きを参照。】

会社法(自己資本比率)の「法と経済学」

私法
商法
「会社法(corporations)(e.g., debt-equity ratio:負債[・自己資本]比率)  「証券取引法(security transactions)
負債比率が上昇すると、自己資本比率の少ない株主は危険愛好的に行動する。∵一方では出資額以上の責任は有限責任の原則により免除され、かつ他方では、賭けに勝った場合の利得は享受できてしまえるから。See 神田&小林, infra, at 167-69.
ハイポ(神田&小林, infra, at 165-68): 事業費用が合計400万円掛かる事業を行うA氏の株式会社。もし事業費用の全額を自己投資で賄(まかな)う場合には、以下の2つの計画の内の前者―【計画I】―を選択するはず。 
計画T : 1年後に500万円の収入を出すので、結果100万円の儲(もう)けが生じる確率が100%ある計画。
計画U : 1年後に800万円の収入を出すので結果400万円の儲けを出す確率が50%あるけれども、逆に300万円を損失して結果100万円しか回収できない確率も50%ある計画。=「400万円X0.5」+「−300万円x0.5」=200万円−150万円=50万円の儲けの期待値。
しかし事業費用計400万円の内の自己資本比率を以下のように変更すると、結果が変わって来る。
【自己資本比率の例#1 : A氏の自己出資額は300万円で、銀行から借入額100万円の融資を受ける。融資条件は、前提を単純化すべく無利子で1年後に元金返還だけでokayとする。
【自己資本比率の例#2 : A氏の自己出資額は100万円で、銀行から借入額300万円の融資を受ける。融資条件は上と同じ。
前提条件
株式会社 株主有限責任の原則
事業費用 400万円
銀行借入 元金返済義務のみ(無利子)
100%自己資本

自己資本:400万円
事業計画I
  • 500万円収入x100%:
    500万円収入-400万円事業費
    =計100万円期待利益

事業計画II

  • 800万円収入x50%: 800万円収入-400万円事業費=400万円利益x50%=200万円期待利益(*1)
  • 100万円収入x50%: 100万円収入-400万円事業費=-300万円損失x50%=-150万円期待損失(*2)
  • (*1)+(*2)=計50万円期待利益
自己資本比率#1
自己資本:300万円
銀行借入:100万円
  • 500万円収入-100万円借入返済-300万円自己資本=計100万円期待利益
  • 800万円収入-100万円借入返済-300万円自己資本=400万円利益x50%=200万円期待利益(*3)
  • 100万円収入-100万円借入返済-300万円自己資本=-300万円損失x50%=-150万円期待損失(*4)
  • (*1)+(*2)=計50万円期待利益
自己資本比率#2
自己資本:100万円
銀行借入:300万円
  • 500万円収入-300万円借入返済-100万円自己資本=計100万円期待利益
  • 800万円収入-300万円借入返済-100万円自己資本=400万円利益x50%=200万円期待利益(*5)
  • 100万円収入-[収入全額100万円借入返済]-100万円自己資本=-100万円損失x50%=-50万円期待損失(*6)
  • (*5)+(*6)=計150万円期待利益
自己資本比率の例#1の場合に採用される計画】 : 【計画T】が採用される。∵一方の【計画T】で出た収入500万円の内の借入額100万円を銀行に返した残額400万円をAは得るので、出資金300万円に比べた儲けは100万円になる。
  他方【計画U】では収入800万円(但50%の確率)から銀行への返済100万円を除くと残額700万円になってそこから自己資本300万円を除くと400万の儲けとなるけれども(期待値@は400万円x0.5=200万円)、失敗した場合(但50%の確率)には回収できた100万円を全て銀行に返還するのでAは全く取り分が無く出資額300万円を丸損する為に損失が300万円となる(期待値Aは−300万x0.5=−150万円)ので、【計画U】に於ける合計した儲けの期待値@+A=200万円−150万円50万円となってしまう。
  従って【計画T】で確実に100万円の儲けを生む方がベター。
自己資本比率の例#2の場合に採用される計画】 : 【計画U】が採用される。∵【計画T】では収入500万円から借入金300万円を銀行に返還するから、Aは残額200万円を得るので、出資金100万円に比べた儲けは100万円になる。
  しかし【計画U】を採用すれば、成功した場合(但50%の確率)の収入800万円から銀行への返済300万円を除いた残額が500万円となるので出資金100万円に比べた儲けが400万円になる。(期待値@は、400万円x0.5=200万円の儲けの期待値となる。) しかも(50%の確率で)失敗した場合には、回収した100万円は全て銀行への返済に充てられて自己資本100万円は全く回収できないけれども、銀行への残債200万円は「株主有限責任の原則」によって返還義務を負わないから、損失の期待値Aは「−100万円(自己資本)x0.5=−50万円で済んでしまう。【計画U】に於いて合計して期待される儲けは@とAの合計=200万円−50万円=150万円となる
  ∴【計画T】の100万円の儲けよりも、【計画U】の儲けの期待値150万円の方が大きい。
対策(一部私見) : 自己資本比率を高めさせる。株主の個人責任を取る。project financing(プロ・ファイ)

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 2011年6月10日  「コースの定理」

「コースの定理」(Coase Theorem

コースがこの定理をシカゴ大学で紹介した際に、学者達(含、将来のノーベル賞受賞者の二名)が理解して受容する迄には2時間も掛かったので、諸君に時間が掛かっても落胆しないように!

WITTMAN, ECONOMIC FOUNDATIONS OF LAW AND ORGANIZATION, infra, at 34.

平野『アメリカ不法行為法, infra, at 239.

コースの偉大な点の一つは、カガイシャ(e.g.,工場)のみならずヒガイシャ(e.g.,周辺住民)も事故発生に寄与していると「平等」(asymmetry)に捉えたこと。責任はカガイシャに落ちるとは限らず、ヒガイシャが引越しをした方が効率的な場合もあるのだ!!→いたずらな内部化への批判 by Coase
事故発生への寄与に於いては、カガイシャのみならずヒガイシャも「平等」に捉える。

WITTMAN, infra, at 32; アメリカ不法行為法, infra, at 242 n.90(自動車対自転車のハイポ), 247(工場対周辺住民のハイポ).

Hypo. 「牧場主 対 農場主」  COOTER & ULEN, infra, at 86-88 & fig. 4.1. 

公正の観点から「カガイシャ」が敗訴して賠償負担すべきと思うのが、伝統的な法曹。COOTER & ULEN, infra, at 86.
しかしコースは「効率性」を指導原理と捉えた。Id
$100/年の農作物被害を、防止する為の案の選択肢は次の通り: @$50/年で農園に柵を構築、または、A$75/年で牧場に柵を構築。 → 効率性からは明らかに、@が正しい。 Id. at 86-87.  ∵↓COOTER & ULEN, infra, at 87.
もし凵i牧場主)に「自由に放牧する権利=牧場主権」を付与して凾勝訴させれば、π(農場主)は敗訴して$100の損失を負担したままになるよりも$50の柵設置費用負担を選択する。結果$50が節約できる。
もしπ(農場主)に「農場を侵害されない権利=農場主権」を付与してπを勝訴させれば、凵i牧場主)は敗訴して$100の賠償を負担するよりも$75の柵設置費用負担を選択する。結果$25が節約できる。
$25節約できる選択肢(π勝訴)よりも、$50節約できる選択肢(剌汨i)の方が効率的である。
しかしπと凾フ両者が取引すれば、仮に両者が結婚した場合(映画「大いなる西部(The Big Country1958年アメリカ映画、グレゴリー・ペック主演、チャールストン・ヘストン共演)のように協力し合う関係になれれば(i.e.,取引費用(*)がゼロならば)、以下のようになるからπに農場主権を付与しても効率的な結果に至る。 COOTER & ULEN, infra, at 87-88.  / 世界史の例を挙げるならば、1479年のカスティーリャ女王イザベル一世とアラゴン王フェルナンド二世の結婚によるイスパニア王国の成立?!  ⇒ 二人の娘が神聖ローマ皇帝の息子と結婚して出来た長男がイスパニア王位を継承すると共に神聖ローマ皇帝をも継承してハプスブルグ朝スペインに繋がる!!!
[*] 「[市場]取引費用」(mkt. t/a costs)とは、取引を実施し、強制し、または権利を交換する為に掛かる費用WITTMAN, infra, at 34. See also アメリカ不法行為法, infra, at 243-44; COOTER & ULEN, infra, at 91-___ --- .
(1)探索費用(searching costs)、(2)交渉費用(bargaining/negotiation costs)、(3)監視・執行費用(monitoring/enforcement costs)。 COOTER & ULEN, infra, ar 91-92; WITTMAN, infra, at 37.

「コースの定理」のまとめ

牧場主(凵jは、$75負担で柵を設けるよりも、$50を農場主(π)に付与して農場内に柵を設けるように申し込む( bribe:賄賂)。これにより牧場主は$75−$50=$25だけ節約でき得る。しかしその節約額を牧場主だけが享受するのでは農場主は承諾しないので、牧場主は節約額$25を両者で折半($12.5づつ)することを再申込すれば、農場主は承諾する。(賄賂として$50+$12.5=$62.5を支払う。それでも牧場主は自己敷地内に$75で柵を設けるよりは$12.5だけ得をする。) 結果、合意によって、$50の柵構築という最も効率的な選択肢に至る。 COOTER & ULEN, infra, at 87-88.

以下は、取引が行われ得ない場合

柵なし $100 / 農場側に柵 $50 / 牧場側に柵 $75
敗訴者→ 農場主 牧場主π

(事故防止策$50を採る
)

(加害
防止策$75を採る)

以下は、取引が行われ得る場合
敗訴者→ 農場主 牧場主π

(事故防止策$50を採る
)
[但、取引費用がゼロならば!!]

コースの定理のハイポ(おまけ)

以下、see POLINSKY, infra, at 11-14.

以下「損害賠償」だけを救済手段とした場合(i.e., インジャンクションは附与されないとした場合)。See アメリカ不法行為法, infra, at 133-34.

優劣 社会全体の費用
3 各$75の損害x5軒の損害 $375
2 各戸に洗濯機$50x5軒=計の治癒策 $250
1 工場に防煙幕(smoke screen)の予防策 $150

取引費用がゼロならば、クリーン・エア権(住民勝訴)でも汚染権(工場勝訴)でも結論は同じ。

工場が煙を排出 / 周辺住民5軒の洗濯物の各損失額が$75で損失額総計は$375 / 対策は以下の2つ。工場が$150で防煙幕(smoke screen)を設置するか、または、住民が各個に$50(計$250)の自動洗濯乾燥機を購入するか。 / 最も効率的な解は$150の防煙幕。取引費用がゼロならば、たとえ住民が敗訴して、工場に「汚染権」が付与されても、住民が工場に$150を与えて防煙幕を設置してもらえる。どちらに権利付与しても同じ効率的結果に至る。(コースの定理)
仮に取引費用がゼロではなく、各住人が集まって合意し交渉する為には各住民$60(計$300)掛かると仮定したら… / 工場に「汚染権」が付与されると、@$300の取引費用を掛けて$150を工場に与える(計$450)の選択肢を採るか、または、A何もせずに計$375の損失を我慢するか、または、B計$250の自動洗濯乾燥機を購入するかと悩んだ末に、Bを選択(洗濯?!)することに成る。→ $150で防煙幕採用という最も効率的な解に至らない。 → 逆に住民に「清浄な空気の権利」を付与すれば、工場側は、住民と取引することも不要で、そもそも最も安い防止策を自発的に採ってくれる。
追加条件 工場が勝訴(汚染権) + 各戸に取引費用$60X5軒=$300
優劣 社会全体の費用
2 各$75の損害x5軒の損害 $375
1 各戸に洗濯機$50x5軒合計の治癒策 $250
3 工場に$150の賄賂(bribe)+取引費用$300 $450

以下、see POLINSKY, infra, at 15-20. 

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 2011年6月17日 「コースの定理」の続きと、「"不法行為"法と経済学」その@

「コースの定理」のまとめ

取引費用が高額化する要因の例は…↓ アメリカ不法行為法, infra, at 244-45. See also WITTMAN, infra, at 35-36.
  • 取引相手が多数e.g.,多国籍間条約(multi-lateral agreement) v.二国間条約(bilateral agreement)) ← 対策は、「市場の失敗」になる蓋然性が高いので、市場取引に任せるよりも政府規制の方が効率的。   / 「反共有地の悲劇」 / 複数の取引相手の全員一致(unanimity)が要求される場合=拒否権を有する各人が独占力を有してしまう。→価格の非効率な迄の高騰化。← 対策は、「市場の失敗」になる蓋然性が高いので、市場取引に任せるよりも強制収用eminent domainの方が効率的。
  • ルール(法規範)が曖昧(∴合意達成が困難) ← 対策は、効率的な結果に沿ったルール(法規範)の明確化
  • 敵意(hostility)
  • 「やり過ぎ(over-reaching) たとえばstrategic behavior(*):全員一致(infra)」が必要な場合(拒否権がある場合)。 あるいは次回に紹介する「strategic behavior」な場合(タフ・ネゴシエイターな評判を勝ち得る為に、譲歩しない!)
[*] strategic behavior(*)とは、自身の行動選択が相手方に如何なる影響を及ぼすのかを予想し予め織り込んでから自身の行動の選択決定を行うこと。特に自身にとって有利に成る行動を相手方に採らせるように、相手方の意思決定に影響を与えようとする行動の意。ゲーム理論の考え方。
その他にも取引費用が上昇する例としては… WITTMAN, infra, at 35-36.
  • 双方独占(bilateral monopoly)=売主も買主も一人しか存在しない場合。つまり当事者双方の交換物に代替物が存在しない場合。参照すべき市場価格というものが存在しない為に合意難。E.g.,絵画「最後の晩餐」と「ナポレオンの王冠」の取引や、国境付近の領土を巡るイズラエルとパレスチナの取引、等。 ←→ 完全市場=代替品が沢山在り市場価格も存在する為に相手方が幾らの対価ならば同意するかの情報が判る。
取引費用がゼロとは、協力的という意味 (協力解!)
【以下、前回講義の再掲】 πと凾フ両者が取引すれば、仮に両者が結婚した場合(映画「大いなる西部(The Big Country1958年アメリカ映画、グレゴリー・ペック主演、チャールストン・ヘストン共演)のように協力し合う関係になれれば(i.e.,取引費用(*)がゼロならば)、取引せずとも効率的な選択肢を自然に選ぶので、効率的な結果に至る。 COOTER & ULEN, infra, at 87-88.  / 世界史の例を挙げるならば、1479年のカスティーリャ女王イザベル一世とアラゴン王フェルナンド二世の結婚によるイスパニア王国の成立?!  ⇒ 二人の娘が神聖ローマ皇帝の息子と結婚して出来た長男がイスパニア王位を継承すると共に神聖ローマ皇帝をも継承してハプスブルグ朝スペインに繋がる!!!
すなわち、法はまず、両者のどちらが権利を付与されるべきかを決める。COOTER & ULEN, infra, at 88.
次に、もし両者が非協力的ならば、どちらに権利付与したか如何で効率的な結果に至るか否かも決まる。Id
しかし、もし両者が取引を成功させられれば、どちらに権利付与しても効率的な結果に至る。Id
「コースの定理」の以上の面を要約すると、以下になる。See COOTER & ULEN, infra, at 89.

The Descriptive Coase theorem」(記述[的]理論)

The Normative Coase Theorem (規範的コースの定理)

The Normative Hobbs Theorem (規範的ホッブズ[*]の定理)

[*] LEVIATHAN (1651)の作者。人は協力解に至る程に合「利」的ではなく争い合ってしまう性向を有しているから、強大な権力が合意形成を強要すべきと説いた。 See COOTER & ULEN, infra, at 97 & n.14.
取引費用の削減策は…アメリカ不法行為法』, infra, at 244.
平野晋 「賠償責任と、無責任と、抑止 〜Liability, Irresponsibility, and Deterrent〜」@総務省「IP化時代の通信端末に関する研究会」の第8回研究会(2007年5月22日)(垂直統合が無くなってプレイヤーが多数化したらば責任強化のみならず政府規制の強化も必要であると示唆。更に効率的な--Best Risk Minimizerへの間接責任賦課--ルールの明確化も主唱。)

コースの定理のハイポ(おまけ)

以下「コースの定理」の続き―「インジャンクション」を救済手段とした場合

POLINSKY, infra, at 17, table 1.
工場の
生産量
工場の
追加的利益
工場の
利益累計
住民の
追加的損失
住民の
損失累計
利益計−損失計
0 ____ $0 ____ $0 $0
1 $10,000 $1,000 $9,000
2 $4,000 $14,000 $15,000 $16,000 -$2,000
3 $2,000 $16,000 $20,000 $36,000 -$20,000
インジャンクションとして住民に「清浄な空気の権利」を付与すれば、取引費用がゼロならば、取引合意が$1,000(住民の損害額)〜$10,000(工場の利益)の間で成立。 しかし2個以上の生産では工場の利益が少ないので取引不成立  → 1個の生産という効率的結果。 / 実損害を支払う損害賠償の場合も同じ。
逆に[工場側が「汚染権」を付与されて(即ち住民にはインジャンクションも損害賠償も全く付与されなくても)、取引費用がゼロでも、1個の生産の場合には住民は$1,000迄しか支払う用意がないところに工場側は$10,000以上でないと中止を承諾しないので合意に至らずに1個の生産という効率的な結果に至る。しかし2個の生産の場合は、住民は$16,000未満ならば支払うように申し出る工場側は$14,000以上ならば承諾するのでその間の額にて生産中止の合意成立。3個の場合も同様(住民$36,000未満の申し出に対し、工場は$16,000以上ならば承諾)。]
しかし取引費用が高額で、たとえば「strategic behaivior」な場合(タフ・ネゴシエイターな評判を勝ち得る為に、譲歩しない!)で、住民側に「清浄な空気権」が付与されインジャンクションを請求可能な場合、たとえば住民は$8,000を要求し、工場は$5,000迄しか譲歩しない場合 → 住民はインジャンクションを行使し、工場は全く生産できない! → 非効率な結果。 以下の「最適な権利付与」にて治癒可能!! 
裁判所は工場に対し1個迄の生産の権利付与(=住民に対し2個以上の生産は中止させられるインジャンクションの権利付与)=中間的な権利付与(intermediate entitlement)(絶対的権利absolute entitlement)ではない) / または、損害賠償であれば、実損害を賠償金として設定すれば同じように効率的結果に至る。

不法行為法

【不法行為法とは何か?】 平野『アメリカ不法行為法infra, at 27-30. --- 賠償(compensation)+抑止(diterrence)Id. at 38-41の途中まで(活動レベル云々は後述). / 報復・謝罪(Id. at 30.)--- 「損害賠償責任の目的の研究」を参照 → 復習の代替手段、「土下座」させたい? !(have his enemy “on bended knee”敗北宣言としての屈辱を与えて応報的渇望を満たす、金銭を奪う等の制裁を課すことによる修復的効果、凾ノ敗訴の烙印を課すことによる充足、均衡の修復、主張する機会(結果を決める過程への参加の機会)を付与されることや、中立的な権威(裁判所)が主張を聞いてた上で慎重に審議してくれる過程が重要(真摯に扱われたい願望の充足)、「謝罪」とは敬意を払うことであり、責任を認め、かつ、良心の呵責・後悔を表明すること…。 / 「効率性」(efficiency)(法と経済学)と「公正さ」(fairness)(倫理哲学)(後掲)

____________________.

主な類型は、「故意による不法行為」か、「過失責任」か、「厳格(無過失)責任」か?平野『アメリカ不法行為法infra, at 66 fig.#4.  PL法と医療過誤訴訟。 

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【過失責任主義】(「一般不法行為」民法709条)(全ての活動は危険であり、お互い様な社会である故に、過失がある場合にのみ責任=費用転嫁を限定。↓
平野『アメリカ不法行為法infra, at 66-67 & n.105 (悪い行為、正当化、行為基準).   Id. at 299  (Perryによる「受容された相互作用accepted interaction), 344-46 (Fletcherによる「賠償の互酬原理reciprocal principle of recovery)) --- "reasonable person std." 客観基準予見可能性(See also平野infra, at 121---協調を促進)、コミュニティ・スタンダードノン・フィザンンスは原則として無責(Good Samaritanp.149 n.180.な義務なし←→法と経済学は批判) Id. at 96-105. / ←→ 「エンタープライズ責任」 Id. at  45-46(ナイフで受傷したヒガイシャに対しナイフ・メーカーが責任を負わされるようなもの故におかしい). / 尤も一定の分野は社会保障的制度(公的救済制度)でカバー。 Id. at 48-53 (運用費用が安価・迅速、勝訴しなくても救済される).

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【過失責任主義の続き--具体的な基準の模索】 原則は、一般不法行為過失責任主義(過失なければ責任なし) ∵世間は狭いし、活動は危険を必然的に伴うので、注意を払っても生じる危険は互いに受忍すべき。 / 要件は「注意義務」+「違反」+「因果関係」+「損害」=責任。平野『アメリカ不法行為法infra, at 97. ちなみに日本では、「故意または過失」+「責任能力」+「権利侵害」+「因果関係」+「違法性阻却事由の不存在」+「損害」=責任。 / 「リーズナブル・パーソン・スタンダード」 → より具体的な基準を求めて.... → 制定法違反即過失(negligence per se)Id. at  109. / 「業界慣行」(custom)Id. at 109, 146(e.g.,専門家責任以外ではsome evidenceに過ぎないので、conclusive evidenceではない)、「過失推定則(res ipsa loquitur)Id. at 109-10 (倉庫から落ちて来た樽で歩行者が受傷) → エスコラ事件(コカコーラのボトル爆発事件では要件を緩和して適用) / → より明確な行為規範へ: → 「ハンド・フォーミュラ」

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2011年6月24日 休講

ジョン・ロールズによる批判 〜「公正としての正義」、「分配に於ける正義」、他〜

See平野晋『アメリカ不法行為法---主要概念と学際法理342-44頁(中央大学出版部、2006年)の第二部、第II章.

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規範的法哲学者」(normative legal philosophers)とは…

「法と経済学」および「批判的法学研究」(CLS: critical legal studies)との比較に於いて、第三番目の法の原理的な学派としてのジョン・ロールズのことを、倫理哲学的に不法行為法を分析する指導的学者のGeorge P. Fletcherは以下の論考に於いて次の様に指摘しています。

出典: George P. Fletcher, Why Kant, 87 COLUM. L. REV. 421 (1987).
Fletcher, Why Kant, supra, at 428-29.

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ドゥオーキンによる批判

有名な批判は、ドゥオーキンの以下の論文です。

Ronald M. Dworkin, Is Wealth a Value?, 9 J. LEGAL STUD. 191 (1980).

「法と経済学」は、社会に於ける富の極大化を善として、それ自体が目的化しているようです。

しかし、富の極大化自体が何故、善なのでしょうか?

法が本来目指すべきは、「福祉の極大化」(welfare)であるべきです。

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「法と経済学」と「シカゴ学派」の歴史

「法と経済学」という比較的新しい学際的学問分野の出現に於いては、いわゆる「シカゴ学派」(Chicago School)がその勃興に貢献したという指摘を、しばしば目にします。

それでは一体、その法と経済学のシカゴ学派というものはどのように出現したのでしょうか?その歴史を簡潔に示すものとして、以下の論考の中から紹介しておきましょう。

出典: Minda, James Boyd White's Improvisations of Law As Literature, infra, at 157, 168-170.

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アメリカ法学に於ける学際研究の歴史と、「法と経済学」とカラブレイジ(Calabreisi)

アメリカでは古くから学際的に法律学を研究していた点を、倫理哲学的に不法行為法を分析する指導的学者のGeorge P. Fletcherが、以下の論考に於いて次の様に指摘しています。

出典: George P. Fletcher, Why Kant, 87 COLUM. L. REV. 421 (1987).
(n.17)Calabresi, Some Thoughts on Risk Distribution and the Law of Torts, 70 YALE L. J. 499 (1961).
(n.18) K. LLEWELLYN & E.A. HOEBEL, THE CHEYENNE WAY (1941).

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「パレート最適」よりも「カルドア・ヒックス効率」の方が「法」の経済分析に適する理由

この点についても、前掲George P. Fletcherが、以下の論考に於いて次の様に指摘しています。

出典: George P. Fletcher, Why Kant, 87 COLUM. L. REV. 421 (1987).

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主要参考・引用文献

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"[E]very lawyer ought to seek an understanding of economics" because [w]e learn that for everything we have to give up something else, and we are taught to set the advantage we gain against the other advantage we lose, and to know what we are doing when we elect.
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Oliver W. Holmes, The Path of the Law, 10 HARV. L. REV. 457, 474 (1897) cited in
Stephen G. Gilles,
The Invisible Hand Formula, 80 VA. L. REV. 1015, 1042 (1994).

【未校閲版】without proof

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